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by a_roofbeam

ロープの話

普段しているボルトルートのフリークライミングにおいて、
ロープを選ぶさいに私が一番気にかけている項目は

「静的伸び率」 "Static elongation" です。

ロープのスペックを考えた場合、
まず気になるのが
「対墜落回数」"UIAA FALL TEST" でしょう。
これは一定の条件でおもりを落とす試験をして、
何回で切れるかというものですが、実際問題フリーで普通にフォールしてロープが切れて死ぬ可能性は低いでしょう。

次に「衝撃荷重」"IMPACT FORCE" ですが、フォールしたときの衝撃を表すもので、これが小さいほど落ちたときのショックが小さいということです。
これも重要ではありますが、実は一番最初にあげた静的伸び率と相反する項目なので、あまりこれにとらわれすぎてはいけないのです。どんなに衝撃荷重が小さいロープでも、ビレーヤーが下手でがっちり張ってしまったら危険なのは一緒です。

そこで、「静的伸び率」の話になるのですが、
これはロープに80kgのおもりをぶら下げた場合、何パーセント伸びるか、
という数値です。
この数値が大きいと、ロープはよく伸びて前述の衝撃荷重も小さくなります。
しかし伸びすぎるロープは、墜落とゴボウを繰り返すわれわれフリークライマーには非常に負担になるのです。また、フォールの距離が長くなることはテラスへの激突など、無用な事故の原因にもなります。
この数値はだいたい7%前後なのですが、たとえばあなたが20メーター登ったところでフォールしたとき、静的伸び率が6%のロープは1.2m伸び、10%のロープは2m伸びるのです。あなたは80センチ余分に落ちたいですか?

この記事は特定のメーカーを攻撃する意図はありませんが、正直、ぼくがべアールのロープを二度と買わないのは、外皮の痛みやすさに加えて、この静的荷重がのきなみ大きい(9から10%)からです。(ちなみに日本の代理店のHPにはこの数値が載っていません)

繰り返しますが、フォールの衝撃は上手なビレーで解消するのがフリークライミングです。

次に一般的にロープを選ぶさいの大きな基準になる直径についてお話します。
10.5や10、9.5など、ロープの径を気にするのは当然のことですが、
実はあまり意味がない場合があります。

たとえば同じ10.2ミリを標榜するロープでも、たとえばマムートのスーパーセーフは太く重たく感じ、ベアールのフライヤーは細く軽く感じます。

重要なのは、1mあたりの重さなのです。
スーパーセーフ 69g フライヤー64g
前者は平均的な10.5ミリのものとほとんど変わりませんが、後者は10ミリロープと同等です。
径によるクラスわけは実は意味がないのです。重さを気にしましょう。

最後に、これは経験則ですが、有名メーカーのものでも、価格が安くて、スペック(とくにUIAA FALL)がほかよりも低い、入門者用ロープが販売されていますが、このようなロープは毛羽立ちが早かったり硬くなったりキンクがしやすかったりと、使い勝手が悪い場合が多いです。
今ぼくが使っているマムートのパッションや、過去に使用したエーデルワイスのアクシスなどがこの例でした。

今まで使ってよかったロープはマムートのインフィニティやギャラクシー、エーデルワイスのオンサイトあたりかなぁ。ブルーウォーターもよかったけど日本じゃ買えないもんね。
by a_roofbeam | 2010-01-30 00:19 | クライミング