dust my broom

ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
外部リンク
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
画像一覧

<   2009年 09月 ( 2 )   > この月の画像一覧


ハンモックと読書 第一回 『ねじまき鳥クロニクル』 村上春樹

先日ベトナムで機械を組み立ててきたが、現地の職人が休憩時間になるとクレーンにハンモックをつるして昼寝していた。うらやましいのでベトナムから買って帰った。

シルバーウイークは小川山だったが、事情があり一泊だけで帰らなきゃならなかった。

残りの三日はだらだら過ごすことに決め、さっそく庭の片隅にハンモックを設置して、朝からビールを飲みながら読書し、そのまま昼寝した。本当にじだらくで最高の日々だった。
それにしてもハンモックは読書にはとてもうってつけだ。上体に角度が付き、かつ本を持つ両腕が包み込まれるから疲れない。腰の下にタオルを入れて腰痛予防をしておけば万全だ。
c0195543_0135126.jpg

この三日読んでいたのは、尾崎翠を探していたときにたまたま見つけて一緒に借りた『ねじまき鳥クロニクル』

高校三年生の僕は、図書館で受験勉強のあいまに、当時『新潮』という文芸誌に連載されていたこれを読んでいた。結局最後までは読まなかったので、いい機会だから読んでみようと思った。
当時僕はそれまで出ていた村上春樹の作品はほぼすべて熱狂的に読んでいたが、この作品以降はエッセイ以外はまったく読まなくなっていった。『国境の南、太陽の西』という作品をよんでなんだかつまらないと感じ、この『ねじまき鳥』にもしっくりこなかったからだ。

僕が大学生のころ、今考えるとたわいもないが、周囲では「村上春樹が好き」とは正面きって言えない雰囲気があった。「好きな作家は?」と聞かれたら「安部公房とか、筒井康隆とか」と答えて、同じくらい愛読していた村上春樹の名前は伏せるのが常だった。ここ最近のノーベル賞候補などの報道にはなんだか不思議な気分を感じる。実際、僕の行く図書館では村上春樹の本がほぼすべて貸し出し中という状態が続いている。今回借りれたのは、これが全集で、別の棚に並んでいたからだ。

結論から言うととても面白くて夢中で読んだ。もちろんハンモックとビールのせいで途中何回か昼寝したが、夢と現実とつかないこの小説にはもってこいだった。主人公が失業中なこともあって、このじだらく読書の環境がマッチしていた。第3部は面白すぎて、ついハンモックから身を起こして正座しかねない勢いだった。

最後に作者自身の解題が付加されていて、なぜ以前読んだときにしっくりこなかったか判明した。この本は最初1部と2部だけで完結という形で発売され、3部は一年ぐらいあとに後出しで突然出版されたのだ。当時ぼくは「なんだよ、、」と思って3部は買わなかったのだ。3部まで読まないとまったく意味のない、クリフハンガーエンディングな話だもんな。
[PR]

by a_roofbeam | 2009-09-25 00:15 | 音楽・読書

ボルダリングと読書 第一回? 『歩行』『第七官界彷徨』 尾崎翠

わけあって週休三日を楽しんでいます。

季節外れの北山公園は、かつて西宮に住んでいたぼくのひそかなくつろぎの場所でした。
もちろんボルダラーが集う冬も楽しいのですが、誰もいない陽射しの石をひとり、静かに登るのも楽しかったのです。

ぼくは普段の岩場では読書やipodはしないようにしています。だけど、季節外れの、それも平日の北山公園は登りの合間の音楽や読書や昼寝がとても心地いいのです。

天気が良かったこともあり、普段あまり行かない将棋岩に行きました。やはり、ボルダラーは誰もいませんでした。ひとつだけとてもがっかりすることを見つけてしまいました。将棋の最初のスタンスがチッピングされていました。こんな最低なことを何度繰り返せばいいのでしょうか? とても残念な気持ちになりました。

まあ、気を取り直してトライしましたが、以前はあれだけ厳しかった一手目が楽に取れるようななっていて、なんだか不思議な感情に陥りました。しかし、何度繰り返しても二手目から先が出ずに、ショーギはここからだったのね、といわされました。

このタイミングで、傍らの石に寝転んで、尾崎翠のまず『歩行』を読み始めました。


おもかげをわすれかねつつ
こころかなしきときは
ひとりあゆみて
おもいを野に捨てよ


という書き出しで始まる、この20分ほどで読めてしまう短編は、しかし、
とても懐かしい世界にぼくを引き戻してくれます。
ひろげた文庫本の向こうの木漏れ日や、勝手に落ちる木の実や、カラスの羽音、水の流れる音、
部屋で読むよりとても心地が良かったです。
ぼくのように十何年も片思いばかりしてきた人間にはこの『歩行』や『第七官界彷徨』はほんとに切ない甘美な気持ちをくすぐってくれます。

さて、結局ショーギはまた登れませんでした。
なんだかこれもすがすがしい様な、不思議な一日でした。


c0195543_071970.jpg

[PR]

by a_roofbeam | 2009-09-12 00:10 | 音楽・読書