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ヨセミテツアー 2013 ノーズその2 教会の鐘が鳴り響く

シックルで、よく眠れないまま起きる時間になった。

回復感もそれほどない。

もっと早く出発するつもりがうだうだしてしまい、ポータレッジをしまったり、

あれやこれや手間取ってるうちに、フィックスを上がってくるパーティーがいて、焦ってしまう。

アメリカ人の二人は、30リッター程度のザックひとつで現れた。今日はエルキャプタワーを目指してるというから、そこまで行ってラペルダウンするのか?、と聞いたら話が噛み合わない。よくよく聞いたら、2デイで抜けるということらしい。

おいおいそのザックにホイチョイカプセルでも入ってるのか?

準備にあたふたしているぼくらは彼らを先行させた。

ここでまたひとつ認識を改めることになる。ノーズを2デイで抜けるなんて、とんでもない強いクライマーだけの世界と思っていたら、彼らは6ピッチ目で普通にテンションを入れていた(まあザックが重いんだろうけど)。

このへんから、徐々に何かが違うと気づきはじめる。

ぼくらはそこそこオーソドックスなスタイルで臨んでいるつもりだったが、

ことによるとすごく時代遅れなトライをしてるんじゃないだろうか、

そんなことを考え始めた矢先に、はるか上方から、教会の鐘が遠く、鳴り響いてくる。

ストーブレッグのあたりにはられていた別パーティーのポータレッジが撤収を始めたようだ。

アルミのごついパイプがカランカランと岸壁にあたって、遠い鐘のように聞こえてくる。

シックルからの2ピッチはぼくがリードしたが、本当にリードでよかった。

人が簡単に登れる3級の岩は、ホールバッグには鬼が満載の地獄になる。セカンドは50キロ位上のズタ袋を抱えながら上がってくるハメになる。

そしてビレイ点ではお約束のようにロープが絡む。

いろんなサイトを見て頭のなかではスッキリしたビッグウォールシステムをイメトレしてきたつもりだが、そんなことはお構いなしに現実のロープは絡む。

ストーブレッグへの大きめの振り子トラバースまであと少しという相棒に、

「悪い、下でロープがクラックに挟まった(;´Д`)」

ビレイ器をセットして5メーター以上ラペルし、引っかかったロープを回収してさばき直す。

その間相棒は日の当たる壁に30分以上ただぶら下がっている。やつの喉の渇きは痛いようにわかる。

「俺たちビッグウォールの悪い例をまさに実演してるみたいだな。」

たぶんドルトホールに2時間ちかくいただろう。ストーブレッグを登ってる相棒のコールは聞こえるが、姿は全然見えない。苦戦してるようだ。

やっとビレイ解除の声を聞き、きつい空中懸垂とロワーアウトを経て、スッキリした壁の美しいクラックを眺めながらユマールした先にはすっかりやつれ果てた相棒がいた。

ビレイ点でぼくもやつも、完全にスタンディングノックアウト的な感じだった。
次の行動が起こせなかった。

相棒がビレイ点と思っていたアンカーは、ドルトから地面まで続いているラペルポイントのひとつで、
ぼくらははからずも敗退の道に迷い込んでいた。

そして、今朝鐘を鳴らしていたパーティーが大荷物とともにぼくらの上から下降してくる。

はやくも物語が終わりそうなフラグが続々立ち始めた。

彼らは憔悴しきっていた。もう考えることができなくなったので敗退すると言っていた。
ぼくらもドルトにたどり着けるか不安に思っていることを言うと、ここにポータレッジを張ってドルトまで空荷でフィックスしたらいい、昨日ぼくらもここで泊まった、と教えてくれた。

これを聞いた瞬間、つくづくホッとした。もうこれ以上荷揚げしたくない。

同時にぼくらも彼らを一日遅れでトレースしてるんだろう、という直感も生まれた。

重い荷物、ポータレッジ、遅い行動、明日は同じようにここをラペルダウンしてるんだろう、、、

彼らが下って行くと、ぼくらは夕方の鐘を鳴らし始めた。

とても幸福だった。ポータレッジの上で憔悴して、エルキャプメドウが少しずつ夕日の色になるのを眺めながら、昨日よりとても満ち足りた気分で晩飯を食べてお茶をした。

登るのをあきらめると、なぜこんなにも幸福で満ち足りた気分になるのだろう?
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by a_roofbeam | 2013-10-23 21:55 | クライミング

ヨセミテツアー 2013 ノーズその1 ピトンスカー

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なにはともあれヨセミテで一番食いたいものがこの肉だ!


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山のように反省点が出てきたが全く後悔もしていないし、打ちひしがれてもいない( ー`дー´)キリッ

事前に荷揚げの練習をしてないどころか、

お互い何を持ってくるかもノーチェックで、

ノーズの取り付きで、当然全て入ると思っていた荷物がどうやってもホールバッグにおさまらなかった時のヤッチャッタ感と言ったらなかった。

売ってる一番でかいホールバッグ買ったのにな、、、

セカンドがモンベルのギアバッグを背負って登ることになった(;´Д`)

で、ノーズの本当の取り付きは2ピッチロープを出したところにあり、このいわば0ピッチですでに
荷物が上がらなくて死ぬほど苦しんだ。

何しろパンパンのホールバッグはちょっとしたカチみたいなホールドに引っかかってスタックする。
ヘタしたらスローパーでも止まってしまう。
ハングなんか発狂しそうになる(#゚Д゚)

そのたびにセカンドが介錯してやらなきゃいけない。

もちろん上げる方はもっと大変で、3分の1システムを使うとおもいっきり引き上げても5センチ程度しかバッグは上がらず、ほんとうに果てしのない重労働を繰り返す。5センチを30メーターで割ってみて、、、( TДT)

本当の1ピッチ目取り付きに立った時にはすでにくたびれ果てていた。それでも今日はなんとかシックルまで行って、明日持ち直せればとモチベーションは十分だった、が、

2ピッチ目に自分がリードする番になって、もっと恐ろしい事実が降りかかってきた。

ピトンスカー(・・;)

言葉では知ってた。「ハーケンを打ったり抜いたりして広がったとこだろ。エイリアンを決めてきゃいいんだろ」

こんな甘い考えは、最初に決めたエイリアンをテスティングした刹那にひっこ抜けて大フォールしたぼくの体とともに吹き飛んでいった。

何しろ浅くて、形がいびつ。普通のエイリアンでは上手く決まらない。

大枚はたいて購入しておいたオフセットマスターカムが、大げさじゃなくぼくの命を救ってくれた('∀`) これじゃねえと決まらねえんだぁぁ

それでもすごく不安定で、フォールで2本スッポ抜けて途方もなくフォールしてしまった。

ぼくの感覚では、フェイスで13が登れないとこのピッチをフリーで行くのは厳しいと感じた。
情けないことに3ピッチ目を変わってくれないかと早くも相棒に泣きついたが、却下された。

こんなテイタラクな登りで時間はあっという間に過ぎていき、シックルに着く前に日が沈みそうになってきた。相棒が4ピッチ目を登ってる最中に、完全に日が暮れた。

初日からヘッデン登攀となる。

4ピッチ目はテンショントラバースが二回入り、時間がかかる。取り付きでは幾多のヘッデンが心配そうにこちらを見上げている。やっと辿り着いた相棒が荷揚げしていたが、ぼくのすぐ横にいかにもな感じで rope eating frake が口を開けているのがものすごく神経に触った。

あいつにロープが挟まったら、今晩は着のみ着のまま体育ずわりビバークが確定だ。

そしてオレはオレでヘッデンを頼りにやったこともないロワーアウトを2回も決めなきゃいけない。

もう少しでシックルに立てるという時に、アブミがクラックに絡まって下り返すはめになったときは叫びだしそうになった。だけど苛ついても仕方がない。

シックルに辿り着いた時の安堵感と行ったらなかった。夜の8時を回ってた。

そしていろいろなことが見えてくる。分かってくる。芯から疲れ果てて、ただレッジに寝ているしかできないぼくの横で、相棒がジェットボイルでレトルトカレーとアルファ米を用意してくれたが、すごくありがたいことなのに食べたいとも思わない。(食ったけどね)

考えたら、行動食にと思って24本(!)も持ってきたソイジョイだって取り付き前に一本食ったぐらいだ。

相棒が山のように用意してくれたスープやコーヒーも、飲む気になれない。

背中に背負ってた、自作の木製ブランコなんか一度も使わない。

恥ずかしいくらいに無駄ボッカの嵐なのだ。

相棒が張ってくれたポータレッジで寝たが、上手くねれず、朝起きたら冷たく乾いた空気のせいで喉が痛くて仕方がなかった。
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by a_roofbeam | 2013-10-10 22:24 | クライミング