なんとかヘロヘロになりながら、前回の敗退地点であるドルトまでたどり着いた。

しかしリーダー、タケちゃんはなんとしても今日中にエルキャプタワーまでたどり着きたいという決意にあふれていて、
そのまま継続して残り数ピッチをすべてリードすると言う。

僕もウッチーもリーダーの熱い決意に喜んでついていく。
ドルトからすぐそこに見えるエルキャプタワーだが、前回みたいに致命的なミスはなくてもやっぱりそれなりに時間はかかり、ヘッデン登攀数時間、夜の10時位になんとかエルキャプタワーを踏むことができた。

重たいギアから開放され、ビバークの支度をしてフリーズドライを水で戻して食べる。ここは前回と同じで、やっぱりあんまり食欲はわかない。

タワーではワインとリンゴという酔狂な残置物が迎えてくれたが、さすがの僕でも紙パックのワインを開けて一杯飲もうか、という気には全くならなかった。

今回行動食に選んだのは日本で購入した”粉飴ジェル”で、いわいるエナジージェルのシンプルで安い版だ。これはアタリだった。ちょっと酸味があり、市販のエナジージェルより水っぽくてフレーバーが全く無いので非常に摂取しやすかった。

憧れのエルキャプタワーで過ごす一夜は、お互い疲れ果ててほとんど話もせずただ眠りに落ちる。少し味気ないくらいの感じだった。


6月5日

朝4時に起きると決めていたが3人共少し寝過ごしてしまう。

ぼくは今まで経験したことのない、上半身が麻痺してしまった、ぐらいの激烈な疲れ方で目を覚ます。朝ごはんも晩飯と同じフリーズドライだが、苦しくて食いきれない。だけど残すわけにもいかないので、我慢して無理やり食べるしかなかった。

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個人的な不安に苛まれながら、ウッチーの晴れ舞台、テキサスフレークのビレイをする。登る姿は全く見えないが、順調にロープが伸びていき、巨大なフレークのてっぺんからひょっこり顔をだすと、

So easy ね! と小憎らしい満面の笑みを送ってきた。

が、ここから少しぼくの個人的な地獄が始まる。
ウッチーがフィックスしたロープをジャグアップして程なく僕ははっきり自覚した。

ユマールが辛い。昨日の半分ぐらいのスピードで登るのがやっとだ…

ヤバイ、もうここまで来て俺だけ敗退するなんて不可能だ。

このままでは俺一人のせいで全員敗退になってしまう!

意気揚々のウッチーとタケちゃんに気付かれないように必死でユマールしながら青ざめていた。本来ならさっさと上がってウッチーの荷揚げを手伝う役回りなのに、ウッチーが荷揚げを終えたあとになんとかアンカーまでたどり着くことができた。

次のピッチはブーツフレーク、僕のリードだが、俺はヤバイかもしれない、なんて言えるはずもなく、
逆に少し投げやりな感じになって、ここをリードできるかどうかで、自分で決断してみよう、という気持ちでボルトラダーを進み始めた。

そしてここからが僕のもう一つ別の苦しみの始まりでもあった。微妙なピトンスカーでのエイドだ。

ボルトラダーはすぐに終わり、だけど顕著なブーツフレークまではまだまだ距離がある。

いやいや、フレークまでボルトラダーでもいいんじゃねーの? 僕には完全なブランクセクションに感じられるが、そこにはナッツも入らないような細いクラックが一本走り、ある程度の間隔で微妙なピトンスカーが穿たれている。

ああ、これか…

アブミに立ち込んで、最小サイズのオフセットマスターをピトンスカーに決めて、

バウンステスト  >  はずれる…  >  もう一度決めて、バウンステスト  >  はずれる  >  なんとか角度を変えて決めて  >  はずれる、そして嫌になる…  >  下を見ると二人がビレイ点でのどかにおしゃべりしている  >  決める  >  はずれる

永遠にリピートするかと思ったが、4,5回目でなんとか外れずに効いてくれたマスターカムに乗り込んで、そいつが足元で抜ける恐怖と戦いながら次の微妙なやつで同じことを繰り返す。

だんだんサイズが広がって楽になり、残置ナッツを掴んでフレークにハンドジャムを決めたときは叫びそうになった。

なんとかブーツの頂上に立つ。憧れの景色の一部になれた。

個人的な敗退の恐怖は少しだけ遠ざかったが、荷揚げにはやはり時間がかかってしまい、仲間に盛大に助けられる。

キングスイングはタケちゃんだったが、かなりスタティックな慎重派スイングだった。
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その後数ピッチ、なんとか僕もユマールの体力が回復していくのを感じられ、朝の個人的な絶望から抜け出すことができた。キャンプ4にたどり着いてグレートルーフを見上げると、

こりゃ、行けるんじゃないか、

という甘い期待が三人にそれとなく漂い始め、軽く浮かれたムードになり始める。

早々にキャンプ4泊を決め、グレートルーフまでフィックスを張りに行こう、ということになる。そしてこのグレートルーフは僕がリードしたが、

完全に圧倒されてルーフにたどり着く手前でチキン敗退 ( TДT)

友達思いのリーダーは普段のクライミングでもチキンな僕に一皮むけさせようと、いつも高いプレッシャーを与えてくれるが、僕はそんな友情を常に軽く踏みにじる。

(タケ)行ける、行けるぞ!

(おれ)嫌や。降りる。代わってくれ。

はぁ......

降りるなりウッチーが満面の笑みで

jibeさんらしいですね(^o^)

と煽り倒してくる。

結局僕の敗退箇所にロープをぶら下げたままこの日のクライミングを終える。

キャンプ4は昨日のエルキャプタワーから一転、正直二人でも狭いと思えるような粗末な寝床だった。じゃんけんで勝ったウッチーは一段上の足半分出るような岩棚、負けた僕とタケちゃんがその下の横幅1メーターもないようなところに身を寄せ合って寝ることになったが、僕はどうしても快適と思えず、1ピッチ下のレッジまで降りることにした。

記憶の中ではそこそこ広いレッジに感じていた場所が、いざ懸垂でたどり着くと肩幅プラスアルファ、程度の寝床だった。まあ、壁の中に一人寝る風流さはなかなか心地よかった。


6月6日

4時に起きて一人だけジャグアップしてキャンプ4に合流する。今日は朝から普通にユマールがこなせた。心地よい安堵感がひろがる。

昨日よりは少し浮かれた気分で朝メシ、調子に乗って下界に向かい、

おーい、地上でキャンプしてる皆さぁん、本物のキャンプ4はこっちだぜエエエ!

と、意味不明な優越感煽りをかます。

ここでウンコ隊長タケちゃんが、

悪い、クソりたくなってきたから先にユマールしてくれ。

と宣言した。普段のクライミングでも常にウンコ隊長のタケちゃんが,ビッグウォールでも先導をきるのは極めて予想通りだった。そこで僕が用意したウンコバッグの使い方を説明して僕とウッチーは先にユマールを始めた。ちなみにどうでも良いことだがクソるとは、大便をする、を意味する彼独特の用語であり、我々は岩場で何回もこれを聞かされている。
リラックスタイムを終えたリーダーがグレートルーフの取り付きに合流し、昨日僕が敗退した箇所からぶら下がったままのロープを結び始めた頃、下からの不思議なオーラに気づいて見やると、

アレックスが下からものすごいスピードで登ってくる。 おおおぉっ、二度目かよ

またも浮足立つ3人、タケちゃんはやっぱり記録を尊重してここはアレックスに先に行かせようと、少し待つことにした。

てくてく上がってきたアレックスは

ハァイ、チームジャパン、また会えたね、

みたいなことを言ってきたので、ぼくが、

君に追い抜かれるのは二回目だね、

と返事をしたら、なんだか僕の英語がうまく伝わらなかったらしく、急にアレックスが真顔になった。

アリガトウ、アリガトウ、(日本語で)

グレートルーフを鬼のように駆け上がっていき、ちょうどルーフの真ん中のとても長い残置スリングを掴むとターザンロープの要領で横っ飛びして一気に抜け口のスリングを掴んだ。

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あっけにとられていた僕がふとあることに気づいた。

ウッチーー、写真じゃなくて動画、動画撮っとけば俺らYouTubeで小金持ちになれたのにイィ!

ああ~~~ 思いつかへんかったぁ。。

そうこう言う間にトミーもスイスイジャグアップしていく。が、グレートルーフの終了点で突然

マイ、ジャマアアァ!

と叫んだのでそっちを見たら彼のユマールが数百メートル落下していった。

現実に戻り、登り始めるタケちゃんに

どうだ、俺が昨日グレートルーフを敗退してやったからこんないいシーンに立ち会えただろう?

完全に黙殺された。

タケちゃんがそつなくグレートルーフをこなし、僕が噂通り回収にひどく手こずり、なんとかこの偉大なピッチを素敵なおまけ付きで終えることができた。

終了点でいきなり吹き出した冷たい風に凍えながら、僕はふとあることに気づいた。

(おれ)おい、タケちゃん、やばかったなぁ。もしお前のウンコが15分遅れてたら、
お前がウンコしている姿をありありとアレックスに見られるとこだったな!

(タケ)おおお、そうやなぁ。アレックスのロープに俺のウンコがついて

U N K O O O O O O ! ! !

とか叫んだら面白かったのにな!

このときはまだ、彼らのトライが二時間をきる歴史的なものになるなんて想像もしてなかった。

だどもし Alone on the Wall 2 が上梓されるとしたら、グレートルーフで先を譲ってくれた親切な日本人として描かれているだろう。

キャンプ4でウンコをしていた日本人、ではなくて本当に良かった。

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# by a_roofbeam | 2018-08-03 23:09 | クライミング
トライの数か月前のことだ。パートナーとのこんな会話。


おい、グーグルで ”ノーズ 敗退” で検索するとトップにお前のブログが出てくるぞ。

まさか、んなわけねえ、、、、”ok google  ノーズ 敗退” 

、、、 ホントだ! (笑)


5年前にノーズを敗退して、タケちゃんと当然リベンジを決意したが、何しろ彼が長期休暇をとれるのは5年ごとのリフレッシュ休暇のみという悲しい日本人の定めで、
満を持してこの6月に再挑戦してきた。

去年ぐらいから日程を決めて、前回は一切しなかった日本での事前練習を今回は重ねてきた。前回と一番の違いはもう一人、ウッチーが参戦してくれたことだ。
俺らより多少若いので馬車馬的に使おう、というタケちゃんの目論見に見事答えてくれた。
3人でのシステムをどうするか、何を持っていくか置いていくか、今回も散々話し合った。

何しろ前回は日程が短すぎて、初日からFIXとレストなしでそのままゴーアップという普通じゃない行動なので、今回は普通にやろう、が僕のテーマになった。

だけどタケちゃんはいろいろ独自手法を考えるのが好きなやつなので、あーでもないこーでもない、いろいろ楽しく意見を戦わせた。

”5P目にFIXしたいからロープを4本にしよう”

”重たいからチョークバッグとアブミは共用にしよう”

”ストーブレッグをレッドポイントしたいからキャメの4番を4個持っていこう”

とか、ことごとく却下しまくった。
もちろん素晴らしいアイデアも出してくれてるけどね。

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3人の中で英語がわかるのは僕だけなので、アメリカのサイトからとにかくビッグウォール技術の情報を仕入れまくった。
rock and ice とか VDIFF とか yosemitebigwall.com とかを見て、いろいろ学んだことを二人に伝えていった。
なので当然用語はアメリカ仕込みになり

”おい、そこで PIG をリリースしろ” とかいうと、 ”なんだ、そのピッグって。ホールバッグじゃねえのか?” と冷めた返しをされる。

トライの時期についてもいろいろ議論した。一般的には前回同様9月なんだろうが、今回は僕もやつも9月は事情があり無理だった。
ならば5月中旬で、ということになったが、僕は5月いっぱい福島に出張だったので無理だった。
そこで6月1日出発という予定になったが、最後まで暑くて敗退するんじゃないかと不安だった。
ところがふたを開けてみたら5月のヨセミテは雨が降り続いたらしく、6月の気温も予想より涼しくてトライには絶好だった。
まず第一の賭けには勝った。

サンフランシスコに無事降り立った僕は、 Hertz のレンタカーカウンターで予定通り追加料金攻撃を受けて撃沈し、いざ車をピックアップに行くと、

”このレーンから好きな車を勝手に選んで乗っていけ” という素敵なお達しを受けた。

さほど車好きでもない我々だが軽く小躍りしてタケちゃんが

”これにしよう” とフルサイズのGMCピックアップを指さした。

”おまえはアホか (気持ちはわかるが…)”

さすがに現実的にトランクデカめのシボレーのセダンにしようとしたら、またあいつが何か発見したらしくはしゃいでいる。

行ってみるとクライスラー300Sだった。(*^^*)

その見た目のイカツサに3人ともやられて即決。しかしトランクは狭くて水の買い出しで立ち寄ったスーパーで積みきれない危機が勃発し、なんとか無理やり詰め込んで回避した。いくらFRとはいえ、アメ車のスペース効率って何なんやろ?

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ともあれ、軽快にV6サウンドを響かせて初日の宿をとったMercedに向かって走った。水は前回のトライと同じallowheadという3リッター入りのやつがすぐに見つかり、大量に買い込んでinandoutバーガーで早めの晩御飯にしてモーテルで最後の準備。
だけどここでギアの仕分けまではしなかったことが軽く反省点になった。


6月2日

翌朝5時にヨセミテへ向かう。個人的に4回目のバレーでもやはり岩が見えてくれば興奮してくる。6月の良い点として、ヨセミテフォールの豪快な眺めもついている。その代わり観光客の車は秋より多い。全体的にバレーは込み合っている。

今回はそのままノーズの取りつきに向かう。車を止めて、4pFIX用に何を持っていくのかギア分けしてこなかったことに軽く後悔したが、後続パーティーがいつ現れるかという焦りに気を取られて見切り発車した。

ま、登るのはタケとウッチーにまかせて、僕は彼らを見送ると荷揚げの準備とキャンプ4の確保に向かう。いろいろ立ち回ってメドウに戻り、ビールを飲みながら仲間が登るのを見ていた。
ラッキーなことに、後続パーティーは一切現れない。先行パーティーはストーブレッグのあたりに一組、遥か上にもう一組といった感じだ。天気予報が良いという情報を得てから、ルートの混雑だけが心配の種だったが、とにかく後続パーティーが現れないことだけがホッとした。逆にホールバッグを背負ったクライマーを見かけると露骨に警戒してドキドキしてしまった…

昼過ぎに彼らがシックルにたどり着いたのを見届け、ハーネスを履いてぼくもゆっくりと動き出した。シックルについてから下降までも二人は結構な時間を要していた。ようやく降りてきた二人と合流して、とうとう辛い荷揚げが始まる。
水36リットルに10キロ近い食料(持ちすぎだ!)、寝袋マットなど、前回やらかしたホールバッグに荷物が入りきらない事件はギリギリの線で回避できた。パンパンに膨れ上がったピッグはやはり一人で上げるのは困難で、2人が体重をかけてようやく上がる。だけど今回は前回みたいな三分の一システムなど使わないだけマシだった。

シックルまでの最後のピッチを僕が先頭でユマーリングしていくと、下から混乱に満ちた声が僕を呼び止める。

おおーい、ロープが足りなーい!

はぁ?! なんでだ、そんなわけねーだろ!

3人共混乱に満ち満ちたが、考えても仕方ないので長さが足りない荷揚げロープにテザー(15メータぐらいのホールバッグの介錯ロープ)を継ぎ足して、なんとかピッグをシックルにたどり着かせた。
とにかく、荷揚げロープの長さを測ろう。FIXの真ん中の60メーターロープと比べて見よう、と提案し、下降時に比較してみると、明らかに5メーター以上短い。まあ、ゴーアップしてから気づくよりは今気づいただけマシと考えるしかなかった。

推測するに、僕らが5年前にこのスタティックロープを切ったとき、60のダイナミックロープに添わせて切断したので間違いなく60と思いこんでいたが、ダイナミックロープの伸び縮みの、縮んでいるときに切ってしまったんだと思う。それ以外に説明がつかない。スタティックロープを切るときには注意しましょう!

そんなこんなでキャンプサイトに戻ったのは結構な夜で、後続もいないしあわよくば明日にでもゴーアップしてしまおうかという先走りはすっかり消え失せ、翌日はレストとロープの買い出しとなった。


6月3日

まったりとカリービレッジで過ごし、スタティックロープも調達して明くる日のゴーアップに備えた。メドウに偵察に行くと、どうやら後続ワンパーティーがFIXをしているようだった。不安を感じた僕は起きる時間は4時ではなく3時にしようと2人に伝え、眠れないかと思ったが結構ぐっすり早くから眠ることができた。


6月4日

3時に起きれた。いよいよゴーアップだ。最後の最後にやり残しや忘れ物はないか慎重に寝ぼけた頭で考え、静かに身支度をする。ヨセミテの場合厄介なのは下手に食べ物や匂いのするものを数日間も道端に止めっぱなしのレンタカーに残せないので気を使う。

暗闇のメドウに車を止め、月明かりのエルキャプを見上げてテンションを上げ、三人で歩きだしてすぐに自分が防寒具のパフジャケットを忘れたことに気づいて呆然とした。テントに戻れば30分近いロスになってしまう。とりあえずレンタカーまで戻ってみると、フリースジャケットがあったんでなんとか事なきを得た。

シックル直下、大量の水を最後に飲んでボトルはデポし、月明かりとヘッデンのユマーリングを始める。シックルの直下のピッチに後続パーティーのホールバッグがデポしてあった。なんやかやでシックルについたときには明るくなり始めていた。ふと下を見ると、今日は上がってこないだろうと踏んでいた後続パーティーが上がってくる、、、

結論から言えば、今回この後続パーティーに先行できたことがとても重要だった。

さあ、気を取り直していよいよクライミングの始まりだ、というときにシックルに上裸で鮮やかなハーフパンツをはいたスピードクライマーが朝のジョギング的な感じで現れ、通り過ぎていく。

するとウッチーが急にソワソワ浮足立つ。

おい、どうした?

トミーです! 多分トミーコードウェルです!

へえ。

するとタケちゃんまで浮足立ち始め、二人が

アレックスが来る? アレックスが来る?

ここまで聞いて僕もピンときた。そうか、直前にスピードクライミングの記録を出したような記事を見たが、まだ継続してトライしてるのか。

と思ったらアレックス・オノルドがさわやかに表れて、

ハ~イ、どこから来たの? 

ジャパーン!

とか会話しながら涼しげに駆け抜けていった。

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羨望のまなざしとはこの写真見たいのを言うんだな、、

さ、現実に戻り、

5P目は僕が担当。途中まで登ったところでタケちゃんがそのへんでピッチを切るはずだ、と言い出したのでカムで終了点を作ろうとしたが、岩が浮いてる感じなので半信半疑で終了点を作る。
荷揚げの体制に入るが、シックルからのトラバースなので、パンパンのピッグを横に引きずるのに下では大変苦労している。二日前に取りつきで少し話した、ワンデイを狙っている気のいいガイドとクライアントの二人組が来たんで追い越してもらうが、そんなとこでピッチを切らずにボルトまで行け、と言われる。トポの読み間違いのようだ。

ジャグアップしてきたタケちゃんと相談して正規のビレイ点まで上がることにする。といっても簡単なことじゃなく、ロープを手繰りなおしたり何やかや時間を使う。

後続パーティーがシックルにたどり着き、ぼくらのモタモタをうらめしそうにじっと見ている。僕らが次のピッチにたどり着くまで、彼らは待つしかないんだ。

正規のビレイ点であらためて僕が荷揚げを始めるが、ここでまたタケちゃんとの間で意見の相違でモメる。

タケちゃんはホールラインが岩角に引っかかるのを嫌がり、このトラバースのピッチをホールバッグを抱えながら、ウッチーと二人で手で持ち上げながら上がるようにしようとする。50キロ近い荷物を引きずりながら登るのはもちろん簡単なことじゃない。

おーい、いいからピッグをリリースしろよ!

いやあ、どうしてもエッジにロープがこすれそうで嫌や!

しばらくは僕もリーダー(タケ)の決定に従っていたが、あまりにも時間がかかるし、その様子を見ていたワンデイのガイドが、いやあ、普通リリースするだろ、というのを耳にして、

いいからリリースしろ! 外人もそう言ってる! と叫んで強硬に意見を通した。結果何事もなく荷揚げをすることができた。

というのもつかの間、今度はウッチーが僕の決めた赤キャメを回収できずに延々コツコツコツコツハンマーでたたいている。
見かねた後続のスウェーデン人も回収を試みてくれたが、さじを投げてしまった。
ウッチーに上がってもらい、自分が決めた責任じゃないが、僕が下りて回収に向かい、

絶望を味わうだけだった。

いきなり最初のピッチから重要なキャメロットの一番を失うとは、、

一回降りてまた買い出しに行って明日再トライしようかとか、少し考えてしまった。

まあ、現実にはそんなリスクをとることもできず、赤キャメもあと二つあるので何とかなるだろうと前に進むことにした。5ピッチ目の終了点では後続パーティーと少し話した。スウェーデン人とイギリス人で、彼らもそんなにビッグウォールの経験がある感じではなかった。

いろいろゴタゴタしてしまい、後続にも追いつかれているので、次のピッチも僕が登る予定だったがタケちゃんが行くことになった。終了点を撤収してユマーリングを始めようという段階になって、また新たな問題が起こってしまった。

終了点を共有していた後続パーティーが、僕がバックアップでとっていたキャメロット075の少し上に自分たちのカムをとったのだが、それにホールバッグの荷重がかかっているのでどうやっても僕らの緑キャメが回収できない。彼らにも手を貸してもらって色々試みたがどうしようもなく、かといって彼らの荷揚げを待つ余裕もないし途方に暮れていたら、

後で回収して渡すよ、と言われたので何も考えずに、ありがとうと言って立ち去った。

そこからはタケちゃんの独壇場で、遅れを取り戻す気迫でストーブレッグまでガンガン進んでいく。

しかし、僕らがガンガン進むかたわら、僕らの緑キャメを持った後続パーティーとの間は微妙に広がっていき、

ひょっとしてあの緑キャメとも早々にお別れになってしまうんじゃないか、

僕らは初手から赤と緑の大切なキャメさんを失ってしまうんではないか、、、という嫌な予感にさいなまれた。

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途中うっちーが得意のチムニー的なピッチをこなし、ぼくもハンドっぽくて登りやすそう(に見えた)ピッチを嵐のようにカムをつかみながらこなし、

荷揚げをしようとして曲げた右手を伸ばすときに、なんかじわっとなるいやな感触を覚え、僕は慌てた。

少ない経験だがはっきりわかる。脱水症状だ。

正直水の量がどんなもんかわからない初日なので、水分補給を控えめにしていたが、やっぱり確実に脱水に陥った。
それ以降慌ててハイドレーションからがぶ飲みをはじめ、なんとかそれ以上やばい症状にならずに済んだ。

前回と違い、今回はスポーツドリンクの粉を規定量の半分にして、それに塩を3グラム追加したやつを3リットルの水ボトルに合わせて調合し、ジップロックに入れて準備してきた。前回の経験上、ただの水では乾いた体に今ひとつ染み込む感がなかったからだ。
僕の用意したスペシャルパウダーにウッチーがさらにクエン酸を投入したが、結果これも大正解だった。少し酸味のあるスポーツドリンクはなんだかものすごく美味しくて、最終日まで僕ら三人をたっぷり癒やしてくれた。

いよいよストーブレッグを終えてドルトにたどり着く、というあたりで、

今回のパーティーで一番体力的にやばいやつがあぶり出されてきた。それは誰だ?


もちろんこの俺だった、、、orz

やさしいタケとウッチーは何も言わずに僕をサポートする体制に入り始め、荷揚げなどの労役をなるべく僕が負担の少ないようにしてくれる。
特にタケちゃんなどは、ストーブレッグの延々続く4番サイズをリードしたあとの荷揚げを一人でやったほうが楽だから、と言って僕に手伝わせず、体力の回復を図らせてくれた。っていうかどれだけ体力あるんだ?

ドルトにたどり着いたときには結構いい時間だった。7時近くだったろうか? 6月トライのもう一つの恩恵として、日の長さを最大限に生かせるということがある。何しろ明るいだけで気分はまだまだ行けるという気になる。

もう一つ前回の9月トライとの大きな違いは、ストーブレッグの小便臭さがかなり軽減されていた、ということ。これは今年の5月にずっと雨が降っていたせいかもしれない。
何しろ前回はドルトに近づくに連れてかの有名なストーブレッグクラックの耐え難い小便臭に悩まされた。

ま、感じ方は人それぞれだし、記録でもあんまり大々的に触れる人は少ないし、何しろ世界で一番有名で歴史的なルートの夢を壊すつもりはないが、

ノーズは小便臭い。

もちろん我々もその汚染に少なからず加担してしまっている。もちろん最小限のインパクトになるように努力はしていたけど。

汚い話ついでに書いてしまうが、前回のトライでシックルレッジで起こった事件を、これからビッグウォールトライする方への警告として書き残しておこう。

5年前、クタクタのボロボロになってシックルにたどり着き、呆然座り込んでいた僕の顔に突然風に乗った何らかの飛沫が飛んできた!

小便の味だ!

慌ててその方向を見るとタケちゃんが悠然と小便を放出していた。

てめえこのやろうぶっ殺すぞ! ヽ(`Д´)ノ

、、、ビッグウォールで小用を足すときは周囲に知らせてから最新の注意で行いましょう。。。

ビッグウォールでは結構な風が吹いている。巨大な壁に当たる上昇気流みたいなもんだろう。

アホ友達の飛沫を浴びてすら、登りたいと思えるのが、ノーズなんだ、、、(?)



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# by a_roofbeam | 2018-07-31 01:13 | クライミング
また、西洋かぶれの意見だけれど、最近ネットニュースなどで日本企業の生産性の悪さを指摘する記事を見かけるようになった。

まあ、つくづく本当だと思う。

ある企業がうちの会社の機械を買ってくれそうなのだが、分厚い社内資料を手に数人の担当者が数時間かけて来社し、彼らの会社の独自の安全基準に適合しているとかいないとか、打ち合わせが半日で済むと思っていたら丸一日かけて終わらず、その後メールで資料や質問のやり取りが続いている。

他の会社では何らそんな確認もせずに安全に何台も何年も使用されている汎用機である。

まさに仕事のための仕事にばかみたいな時間を費やしている。担当者はもちろん馬鹿ではないので、うちのシステムがややこしくてすみませんと常に恐縮している。

彼らのややこしい雑多な質問に答えるためにドイツのメーカーにメールしても、ごく簡単な質問以外は返事が帰ってこない。

これが、ドイツ企業の生産性の正体だ! ややこしいメールにはマジで返事しない!

ぼくも習いつつある。
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# by a_roofbeam | 2016-11-01 00:25
もはや芸術祭巡りがメインの趣味と化してきたな。

大地の芸術祭には初めて参加する。
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たぶんメイン会場といえるキナーレの巨大なインスタレーションはトップクラスに素晴らしい作品で、しかも今回限りのような気がする。見たほうがイイヨ
作家はあのイブ・クラインロボットの人だった。結果を出すね。

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キナーレの中にはいくつかの高レベルな作品が展示してある。レアンドロ・エルリッヒ(*´∀`)

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すごく楽しみにしていたボルタンスキーの最後の教室。肝試しレベルに怖い。世界中の人間が一度はかならず訪れるべきレベルの作品。

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この作品も素晴らしかった。家の記憶。

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まつだい農舞台の里山ビュッフェ。すごく美味かった!

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巨大な石鹸。

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こんな立派な『廃校』って、、これにかぎらず、芸術祭巡りをしていると日本中の廃校の多さに驚かされる。この大地の芸術祭だけでも廃校が作品やギャラリーになってるのが5個ぐらいあった。

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宿はいきあたりばったりで、と思ったらなかなか見つからず、なんとか越後湯沢の温泉に辿り着いたがなかなかいい宿だった。川端康成が雪国を書いた宿、だって。

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ここも素晴らしい場所だった。ポチョムキン。名前はいまいちか?

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ポチョムキンの駐車場のそば、綺麗な湧水の池。遠目からも蓮の花が鮮やか。

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こんな写真では作品の素晴らしさの数パーセントも伝わらないからあなたは新潟に行くべきだ。そうだ行くべきだ。

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キナーレのすぐそばの、この作品(?)が何故かすごく気になって3キロほど引き返して寄ってみた。アタリだった。この作品を見なければ今回新潟まで来た意味が無いぐらい、強烈なインパクトを受けた作品だった。

というか、学生時代からいろいろ見てきた現代美術の中でも最高にビックリした。

写真じゃ伝わるどころかなんの意味にもならない。このドアを開けて体感するべきだ。

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大人気の絵本と木の実の美術館。癒される系。

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癒やし。

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15年前からやってる6回目の老舗のイベントで、過去の作品もたくさん残されているから、なにしろ作品数が膨大で2日半ではとても回りきれない。最後に見る作品はアネット・メサジェにした。

大学に入った年に世田谷美術館で見た出し物が、田舎から出てきた青年にはとても強烈で、その後十年ぐらい、ぼくの部屋にはアネット・メサジェのポスターと杉本彩カレンダーが飾られていた。

そんな感傷的な感じ。

まとめ。

今回一番気になったのは屋外作品の劣化。劣化も作品と捉えきれないような感じが多かった。メンテナンスと言っても簡単じゃないだろうけどね。

うえでも書いたが、ほんと芸術祭巡りは廃校めぐり、みたいな様相があるね。

芸術祭ご飯は、多少高くても混んでても食べればそれなりに美味い。






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# by a_roofbeam | 2015-09-07 23:44 |
河原町の駅から京都市美術館まで、歩いてみたら京都が思ってたのより数倍きれいで気持ちのよいところでびっくりした。
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電車で来れる観光地はこれがサイコーやな。

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これはサイコーに面白かったイブ・クラインロボット!

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ジャクソン・ポロックロボット!! 検索して動画で見てみて下さい。

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ユリ熊嵐的な作品(?)

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京都市美術館の中で一番面白かった作品。石橋義正という人。技法のいちいちがどこかで見たような、はっきり言えばパクリっぽい感じなのに、まとめ方がすごく上手いと感じた。もっとはっきり言うと主演女優が良ければ何でもオーケーなんだよ!

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美術館自体もきれいな建物。

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他の会場を目指して再び歩く。京都の街なかにこんな風景があるなんて知ってました?(知ってるのかな)

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初御所。

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歩けばなんだか気持ちの良さそうな場所が次々に現れる。

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ピピロッティ・リスト。この人すごい。この作品が今回のベストでした。

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夕方には大阪に移動してポール・マッカートニー。この人ももちろんスゴくてサイコー!






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# by a_roofbeam | 2015-05-25 21:58 |

自動車の話

10年18万キロ乗ってきたフォードエスケープだが、アイドリングの時の振動が大きくなってきてるし、なにしろエンジンのかかりが悪い。世の中の新車の大半がアイドリングストップになってるのに、うちの車はセルモーターをかなり回さなきゃならない状況だ。

ま、学生の頃乗ってたリトルホンダ(という原付)は冬場はチョークを引かなきゃ始動できなかってけどね。チョークって覚えてますか? 白い粉じゃないですよ。

最近はなんやかんや仕事の合間にいろんな車を試乗して回っている。

それも含めて、いままで運転したことのある車を出来る限り振り返ってテキトーな感想を書いてみよう。


ホンダ トゥデイ  母親の車。免許を取り立ての頃家にあった。とくに感想はないが、いま見ても斬新な形の車だったと思う。

ミツビシ パジェロミニ  父親が衝動買いしてきた母親の車(?) 雪国の我が家で初の四駆だったが、二駆のトゥデイに比べて
雪道の運転が圧倒的に楽になって心底感動した。ぼくの四駆信仰はここから始まった。

スズキ エブリィ  初めて自分で買った車(中古)。当時目黒で家賃3万円の風呂なしアパートで、駐車場は2万4千円だった。道具も積めるし車中泊も快適、何より初めて自立したクライマーになった気分を与えてくれた。リアエンジンなので夏場走りきって車中泊すると床暖房状態で非常に辛かった。

ホンダ インテグラ  クライマー仲間のRちゃんの車。ガソリンスタンドで某アイロンさんに「じゃあ運転変わって下さい」とキーをわたされ、軽い気持ちでアクセルを踏み込んだらクラッチが激烈に重いわエンジンはピーキーだわ全く動かすことができず、激烈な空ぶかしでスタンド中の注目を集めた恥辱の体験だった。マニュアルへの苦手意識はここで植え付けられた。

デリカ スターワゴン  テレマークの師匠の車。トラックと乗用車の中間ポジション的な感覚で、運転しやすかった。

デリカ スペースギア  クライミング仲間の車。城ケ崎まで何往復もさせてもらった。この車も運転しやすかった。

トヨタ タウンエース  以前の会社の営業車。ほぼ毎日、一日中乗っていた。スピードは出るし運転もしやすいとてもいい車。FRでスタッドレスは支給されなかったのでごくたまに雪道を走る状況になると地獄だった。

トヨタ オーパ  嫁の車。ぼくと結婚して売ってしまったが、嫁はそのことをいまでも恨んでいる(;´Д`)。後部座席が驚くような仕組みでフラットになり、全長が短いのに、うちのあのデカイ嫁が車中泊できる。トヨタはこんなすごいアイデアとコンセプトを惜しげも無く捨ててしまっている。高回転まで回すと気持ちいい。

トヨタ カローラ  前の会社の営業車でもあり、今の会社でも5年間乗った。結局自分の車以上に乗ってる時間が長い車かもしれない。ある意味日本の車のスタンダードで、高速道路の法定速度が100キロというふざけた国にはちょうどいい作りだと思う。どうやっても壊れないけど、160キロ出すと死ぬかもしれない。意外と装備は手を抜いていて、ウイングロードやフィットシャトルのほうが走り以外の装備は快適だ。

日産 ウイングロード  友達の車。回すとエンジン音が大きいので気分が盛り上がる。快適な装備が多い。ま、日産はあえてグロリアとかブルーバードとか、伝統の名前を捨てたんだから仕方ないけど、カローラよりはいい車なのにインパクトが弱いよな。

ホンダ オデッセイ  上司の車。結局、免許をとった時に家にはシビックとトゥデイがあり、F1が流行ってた風潮もあってかぼくは心の底ではホンダファンだ。乗っていた原付きもリトルホンダという変わり種だしね。先々代のオデッセイは運転していてほんとに楽しい。ディーラーで試乗する範囲でも、一番楽しいのはホンダ車だ。部品は安っぽいし、ペラペラ感はあるが、ヒューンと回っていく感じは理由なく気持ちいいんだよね。問題はホンダがクライマーやスキーヤーにとって最高の選択肢かというと、そうとは言い切れないとこなんだ。

マツダ ロードスター 弟が一時NBを乗っていた。次年子(地名です)の蕎麦屋まで峠道を運転したが、誰もが言うようにあのスパスパ決まるシフトはほんとうに楽しい。素晴らしい車だ。だけど、真っ直ぐな高速をひたすら走っていると、なんか評価が下がってしまう。クライマーでなければこんな車がすきだ。

スバル フォレスター  ご存知のようにクライマーにはスバリストが多い。複数のクライマー友達のフォレスターを運転させてもらった。NAもターボも。で、フォードを買うときに最終的に迷った対抗馬もフォレスターだった。こんなことをブログに書くと、周りに敵を作ってしまうかもしれないが、ぼくは鈍感すぎて、言うほどスバルの素晴らしさがわからない。まあ、サーキットやらオフロードを走ってるわけじゃないから仕方ないんだが、普段走ってるぶんにはスバルもフォードもカローラも、感動するような違いはない。

フォード フォーカス  代車。すごく評価は良い欧州フォードだが、アクセルやブレーキの感覚が独特すぎて辛かった。

トヨタ プリウスα  現在の会社の車。なんというか、今まで乗ったすべての車の中で一番横風に弱い。スズキのエブリィ以上に。で、モーターの加速感はドッカン的ではなく、いつの間にかスピードが出てる、という感じ。音も静かなので高速の真っ直ぐなゆるい下りなどでは気づくとここに書けないような速度になっていることがある。グリップが希薄なのでカーブで飛ばすのは怖い。

シトロエン C4ピカソ  スペインでレンタカー。はじめての2ペダルMT。とにかく発進はギクシャクする。車内には要るのか要らんのかわからないような装備が満載。フランス車の良さはわからなかった。

フォルクスワーゲン ゴルフ  ドイツおよびスペインでレンタカー。ドイツで借りた先々代ぐらいのマニュアルのゴルフ(本当はセアト・レオンというスペイン製のゴルフOEM)は正直良さがわからなかった。意外とドアの作りなんかもペラいし、こんなもんかと思った。ところがスペインで最新型のゴルフに乗ったら脱帽してしまった。7段のDSGは変速タイミングもバッチリだしエンジン音もダイレクト感もマニュアル以上と思える素晴らしいものだった(よく壊れる、とは聞くが)。

以下はディーラーでの試乗の感想

フォード クーガ  アメリカでは現在エスケープとして売られている、実質ぼくの車の後継者。欧州フォード製。すごくいい車だと思うが、日本では派手な色やSUV感がない。そそらない。

ホンダ フィットシャトル  何もこだわりがなければクライマーにとっては最高の選択肢だろう。後部が完全フラットで天井も高く、最高の車中泊グルマだと思う。何回も言うようにホンダの軽く回っていく感がこの車にもあってとても楽しい。だけど、ドアハンドルが冗談みたいに安物のまるでブリキ細工で萎えてしまう。

スバル レヴォーグ  最初は何だこりゃと思ったデザインだが、町中で見かけるうちにだんだんカッコよく見えてくる不思議。今まで乗った車にないドッカンな感じにやられてしまう。欲しい。

ボルボ V40クロスカントリー  デザインが素晴らしい。外装も内装もどちらも素晴らしい。だけど、室内がさすがに狭すぎる。クライマーでなければ買いたい車だ。

アルファロメオ ジュリエッタ  理由もなくアルファロメオに憧れ続けている。で、ディーラーで試乗したジュリエッタが唯一体験したアルファだが、サイドブレーキを戻した時にカツンと言わないことが最高のカルチャーショックだった。え、これでいいんですか? と尋ねたぼくの質問をディーラーの人は理解できないようだった。室内も微妙に狭く、それと現在のアルファロメオのデザインは好きになれない。

ま、なんだかんだ言いながら今の車が好きすぎるのが最大の悩みだ。ぼくが車に求める優先順位として、

1,あまり他の人が乗ってなくてカッコ良い。
2,エンジンがよく回る。
3,クライマー兼旅人としての車中泊や積載の快適性。
4,買える値段、嫁の許可を得れる燃費や維持費。

これをすべて満たす夢みたいな車はなかなか見つからんだろうなぁ。



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# by a_roofbeam | 2015-04-11 21:48 |

むかし『探偵物語』の再放送を見てたら、優作が

「そうだ、トルコ行こう、トルコ」となんの脈絡もなく言い出すので、

なんで急に海外展開するんだ?? とびっくりして見てたら、ああ、昔はそういう意味で使われてたんだな、、、

と、軽く下世話なネタからの、トルコ共和国アンタルヤ、クライミングツアーです。

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結論から言うと、ほぼ正月休みしか海外ツアーできない我々にとってはいままででベストなクライミング環境だった。
メインのエリアはほぼ南面でなにしろ温かい。
日陰のエリアも日によっては快適に登れる。

だけど雨は多かった。しかし乾きは良い。夜中雷雨で、朝方やんだら、翌日朝から登れる。
染み出しはエリアによるがそう多くはない。


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人気ルート。下部7A+。


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鳥がやたら距離を詰めてくるので可愛い。


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泊まったJO.SI.TOというキャンプ場のゲストハウス。ドイツの建材を使っててとても快適。


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中に三部屋あってうち二部屋をうち夫婦とS本家で使い、あとひと部屋はイギリスから来たカップルだった。
このキッチンは共同なので、かぶると少し辛い。

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二日目は一日雨でレストになったが、さっちんグループが遊びに来てくれて、一日中ビール漬け。
EFESビールがサイコーに美味かった。

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基本的に車がなければ買い出し不可(根性があれば下の村まで8キロ歩きとヒッチハイク)
JO.SI.TOのディナーを予約する。

ここには同じようなキャンプ場がほか2軒ある。
ひとつはすぐ隣りのKEZBAN’Sで、
もう一つは大きな通り沿いのCLIMBER'S GARDEN

JO.SI.TOは一番メジャーで商業的で快適だが、夜はクライマーでごった返し、席を取るのすら難しい。
KEZBAN'Sは、勝手な推測だがJO.SI.TOを真似て地元の人が開いた、という雰囲気で、
少し寂しい感があるが、逆に席は確保しやすいかも。ここもディナーは要予約。

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これは少し離れたCLIMBER'S GARDEN のステーキ! ちょっと高い12ユーロだけど、予約もいらなくて美味しい!
ここのキャンプ場自体は一番こじんまりしてる。

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20分ぐらい歩いたところにある地元のレストランだが、看板はあるもののこんな雰囲気でとても入るのを躊躇するが、
うちの嫁が見事に切り込んでくれた。
通された階段が廃墟みたいにボロボロで、暗い証明で失敗ムードがただよったが、
上がった先にはたくさんのクライマーがいて二度びっくり。
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名物はマスのグリルだが、ぼくは鶏を食べた。
以外にもこのレストランのWIFI環境が上記3件のキャンプ場より格段に良かった(でも遅いけど)

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日曜日はレスト、8キロ下の村でバザーをやっている!

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こんなかんじで2階建てのあずま屋みたいな個室がたくさん並んでいる。

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トルコでチャイを頼むとそれが普通の紅茶で、こんなヤカンを出された。上が茶葉入り、下がお湯で、
濃いのを薄めて飲むようだ。

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コツがいる。

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必ずこの形のガラスのコップで出される。
取っ手がないので熱い。でもこのコップが好きになる。

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この日は JO.SI.TO でレンタカーを借りて、市街地まで降りてみた。

レンタカーはマニュアル、ナビ無しのフィアットの小さなセダン一択で、31ユーロ。
JO.SI.TO から一般道に上がるゆるやかなダートの坂で3速でエンストした。
少しでも登りになると容赦なくノッキングを始める。
人生で一番長く1速を多用したドライブだった。

地元の人の運転についてさんざん荒い荒いと言われたが、走ってみればまあ、ごく普通に走れる。
旧市街じゃなく、道も広くて空き地が多い新市街だったのが良かったのかもしれない。

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トルコで一番ぼくにとって切なかったのは、
地元のレストランでは何を食べてもどこかにラム的な臭いがするということだった。
スープを食べても、鶏肉を頼んでも、何かしらラム臭がする。

S本さん(A.K.A残置夫)が「ラムだっちゃ」「これもラムだっちゃ」と言いだし、
ジンギスカン好きのうちの嫁もだんだん鼻についてくる、という。

一番びっくりしたのが、トルコのあの伸びるアイス!
期待して食べたら罰ゲームみたいなキツイ臭いがする!

まあ、しかしこのへんは好みの問題だ。

あと、レストランでビールが頼めないので、持ち込んだりするのが(OKらしい)少し面倒な感じだった。

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だけどまあ、クライミングはほんとうに素晴らしい。岩場はかなり混んでいて、
順番待ちもあっったりするが、
なにせこの写真の陽のあたってるバンドのほぼ9割がエリアで、
歩いて移動できて、しかもどれも人気エリア。
これ以外にも日陰のエリアがある。

2ルンゼの隣に新エリがあり、その隣の権現があり、また隣は羽山で長屋で、、、という感じでエンドレス。

今まで正月訪れたカリムノスやスペイン、カランクなどの中ではクライミングに関しては間違いなくナンバーワン、
(生活はスペインが良かったなぁ)。


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# by a_roofbeam | 2015-01-10 18:31 | クライミング

矢掛ボルダー

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土曜日は一人、マットを背負ってコンペには参加できなかった矢掛ボルダーを訪れた。
予備知識無しに来たらこんな古い町並みだったのでとりあえず散策モード。
お好み焼き屋があったのでふらっと入ったら次から次と客が押し寄せてきた。
広島風を堪能しました。

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車を止めて数分でこんなすごい石に出くわす。センターエリアのこの石はとてもいい感じにそびえていた。
岩質や課題の雰囲気は王子が岳よりも北山公園チックだ。北山よりはホールドが多くて大きい感じ。

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この課題もしびれる。真ん中ぐらいにミッドナイトライトニング的な(触ったこと無いけど)乗り込みがある。

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一番気に入ったのは鉄塔エリアのこの石。
勝手にピンクフロイド岩と命名した。
とりあえず真ん中のクラックを登ってみた(内容は今ひとつ)。
その右ともう一つ右のカンテ課題はとても面白かった。

数年に一回遭遇する昔の仲間にまたあったのもふくめて、楽しい一人旅だった。

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# by a_roofbeam | 2014-12-29 18:16 | クライミング
結局ポンツーンは行くとこまで行き着いてしまったということなんだろうか?

昨シーズンの初日、急激にスキーがつまらなくなってしまったことに気づいた。

まあ、純粋に飽きただけ、とも言える。ほぼ同じスキー場にしか行ってなかったし、他を開拓するモチベーションもなかった。

最初はすごく感動したポンツーンだが、次第に重さが疲れを生んでいることに気づいてしまった。

かと言って細板に戻れるわけでもなかった。

結局最初の一回だけで、滑ることをすっぱりやめてしまった。

まあ、無理してやるようなことじゃない。

またやりたくなるまで、眠らせておくことにしよう。

羊蹄はいつでもぼくの心のふるさとで、無くなりはしない。

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# by a_roofbeam | 2014-12-17 22:40 | テレマーク

西宮船坂ビエンナーレ

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起点となる船坂小学校。すごく雰囲気のいい廃校です。

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教室から一歩出るとテラスっていいよね。

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ちょっと歩くとこんな茅葺きの古民家。

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で、その中にこんな作品がある。これが一番脱力系で面白かった。

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今回のハイライト。さっきの古民家からちょっと歩いたとこの雰囲気のサイコーなスリランカレストラン。
値段はやはり高めだが、うまくて居心地はすごくいい。

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川沿いを歩いて、

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ちょっと奥まったとこにすごい庭園のあるカフェの中にこの作品がある。これも良かった。

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庭。

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中に入ってスコーンとコーヒー。

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こんな風景が西宮にあることなんて想像してなかった、このへんは車ではよく通ってた元西宮市民。

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ファインアート。

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やっぱり、何回も言うけどこういう芸術祭に参加することで、普段絶対歩いたり分け入ったりすることのないような場所をのんびり回れるのがとても素敵なんだよね。

観光地じゃない、普通の生活の場で、ちょっと寂しい雰囲気もあるところを。
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# by a_roofbeam | 2014-11-22 18:35 |

天草、彦根城の小さい旅

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熊本で時間ができたのでナビの地図を拡大して行ったら、西の海に面白そうな島があったので目的地にしてみたらそこが天草だった。

熊本から天草までの道は、常に右側に普賢岳が見えている。いつまでもいつまでも、角度を変えて見えている。

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天草の松島。干潟。美しい。

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そしてこの旅のハイライトは三角西港
小さな小さな世界遺産クラス。地形もすごければ建物もどれも味わいがある。どうしてこんなに素晴らしい場所がこんなに無名なのか? おれが知らないだけ、じゃないよな。
オンサイトでこんなものを引き当てるのがいきあたりばったりの旅の楽しさなんだ。

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この日本家屋も同じ港に残された廻船問屋。

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日本家屋の窓から海ってのはなにげに珍しい気がする。
エドワード・ホッパーの絵画よりも素晴らしいぼくのこの写真。

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そして彦根城。はっきり言って油断していた。

けっこう寺社仏閣を見てきたつもりだが、この雄大な堀と石垣は今まで見た中で一番すごい。なぜこんなにお堀がすごいのか、ちょっとウロウロしていたら圧倒的に明快な理由を発見した。

琵琶湖のすぐそばなんだ。

真っ暗な琵琶湖に降りて、流木に腰かけてしばらく瞑想した。
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# by a_roofbeam | 2014-10-26 23:48 |
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ほんとに一年に2冊も本を読まなくなってしまった。読んでよかった本をブログにアップしてるんじゃなく、読んだらほぼすべてアップしてるが数年で三冊という感じだ。

もう最近は登りに行こうとすると雨ばかりで気が狂いそうだ。仕事と雨でお盆休みが完璧に潰れたんでショボくれて図書館に向かい、学生の頃からいっぺん読んでみようと思ってついぞ読んだことのなかった本を借りてみた。
どうせ読みきれないだろうと思ったら、意外とグイグイくる。


『泥棒日記』 ジャン・ジュネ

―裏切りと、盗みと、同性愛が、この本の本質的な主題である。


という一文そのまんまの本。主人公含め登場人物のほぼすべてが、犯罪者で同性愛者。殺したり盗んだり掘ったり掘られたり、しかも実話。

だけど一番面白いのは、放浪小説であるということ。主人公はフランスからスペイン、ベルギーなど、物乞いしたり、盗んだり、掘られたりしながら放浪する。

放浪中に見張り小屋に忍び込んで寝ていたら、見張りが帰ってきて困ったことになりそうと思ったら、その見張りといい感じで肉体関係に及んでしまうとか、そんな展開ばっかりで脱力感満載だ。

バルセロナも主要な舞台だから、2年連続のスペインの旅も、これを読んでからだったらもっと楽しかった(かもしれない)。

ちょっとネタバレだが、もう一つ面白かったのは、ジュネが作家になってから出来た金持ちの知り合いから美術品を盗もうというくだり。

作家になってもリアル泥棒ってのがすごいね。
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# by a_roofbeam | 2014-08-29 23:27 | 音楽・読書
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本島のこの作品は良かった。

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どうも本島がしっくりこないので、行きのフェリーの中でリピーターの中高年団体が「高見島が良かったぁ」としみじみ話していたのを思い出して高見島に舵を切った。結果大正解だった。
この「海のテラス」のレストランにまずやられた。

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並んで待ったかいがある、100%瀬戸内ビューのテーブル。

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讃岐富士的な山を遠くに見やりながら、ゆっくり飲んで食べて今思い出してもとてもいい気分に戻れる。

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このレストランのある建物の中の展示も良かった。

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こういう表現が正しいのかどうかはわからない。
だけど、高見島で一番感慨深かったのはこの島が現在進行形の廃墟となりつつあるということだ。住んでいる人には本当に失礼になるが、率直にこんな表現しかできない。

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本当にこの島では島そのものの雰囲気とよく調和した素晴らしい作品群に出会えた。

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まとめじゃないけど、

率直に言えば、会期を三回に分けたのは良くなかったと思う。人に勧めようにも、リピートしようにも、それぞれの会期が短すぎてどうしようもなかった。

会期が長ければぼくはたぶん高見島に入り浸ってたかもしれない。プロジェクトが終わったいま、自販機すらない静謐な島に突然訪れる勇気はちょっと湧いてこないよね。
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# by a_roofbeam | 2014-06-20 22:52 |
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初日は犬島、製錬所美術館。ぼくはリピートだったがそれでも素晴らしい。

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そして豊島に渡り、ここに宿泊する。このシマナミがほんとうに綺麗だ。

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今回見た(体験した)中で一番すごかった作品。ただ竹をクライミング用のアクセサリーコードで結んだだけの船が地上はるか高いところに浮いている。

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おそらく保存はきかないであろうこの作品を体験できたことはとてもシアワセだった。制作にはクライマーが協力したらしい。

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豊島の頂上(?)からの風景。

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日をあらためて西の5島に単独参戦。本島。

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作品はピリッとしなくてもこの島の佇まいだけでいい気分に浸る。こんなイベントがなきゃこんな島(失礼)に来ることはまずなかっただろうからね。
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# by a_roofbeam | 2014-06-20 22:26 |

サーストンのライブ!

今日は梅田でサーストン・ムーアのライブを見てきた。

正直サーストンのソロアルバムなんて買ったことも聞いたこともなかったので、かなり恐る恐るだった。
会場ではみんな正座して恐るべき音響実験を延々聞かされる、とか言うシチュエーションを勝手に想像してみたが、

不慣れな都会でようやく辿り着いたライブハウスの入り口で受付をしてると、

ハ~イ、と顔パスでぼくの横を通り過ぎて行く背の高い外人がいたのでまさかと思ったら本人だった。

おもいっきり目があったが、びっくりして満面のほほえみを投げかけることしかできなかった。

その後もサーストンとガールフレンドは会場を行ったり来たりして楽屋に入っていったが、ぼくを含めすべての客が完全スルーで、ほんとに無反応だったのが笑えてしまった。

客はたぶん50人もいなかったと思う。ステージにはドラムセットがあったのでとりあえずほっとした。

が、ライブが始まるとぼくの期待や不安を1000%裏切るモノスゴイ演奏で、一気に昇天した。

ソニック・ユースの中でぼくの心をかき乱した本質の部分はサーストンだったということがはっきりした。

ギター二人とドラムという編成だったが、序盤の数曲は思いっきり激しいロックで、早々に昇天をくりかえし、

後半はさすがのギター実験室的な演奏も乗ってきて、ジャズマスターをアンプにこすりつけ始めたところで何かが覚醒してしまいそうだった(;´Д`)

ただ一つ残念なのは、1時間ちょいでライブが終わってしまったこと。2回アンコールしてくれたが、さすがに物足りない感があったなぁ。

アンコールであそびでヘイヘイマイマイのリフを弾いてたのが楽しかった。

ライブが終わり、サーストンと他のメンバーが出てきたが、サーストンは他の人と話し込んでいたので直接しゃべることはできなかった。ギターとドラムの人に握手して素晴らしい演奏だったと伝えて気分よく帰った。

普段経験できない梅田の食堂街で立ち飲みを楽しんで、電車とバスで家まで帰った。
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# by a_roofbeam | 2014-06-03 23:15 | 音楽・読書

ムーブの面白さ

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鳳来シーズンを終え、名張でワンクッション入れたら、備中モチはかなり低下していた。

いやあ、極寒の鳳来に戻るのは現実じゃないにしても、もう一週名張でハンドジャムにぶら下がっときたいな、、

ぐらいに考えながら新エリに辿り着く。

笑っちゃうぐらい去年の自分ブログとおんなじ感想を抱く。

三連休なのにぼくら4人パーティー以外はRWさんチーム2人だけ。

静かで、なんの焦りも競争もなくのんびり登れる。禁セプラインの喧騒が懐かしいくらいだ。

一時逃げていたカンテに取り付いてみた。

さすがに久しぶりの石灰でも面食らわないぐらいは備中慣れしている。

だけどやりだしたら、この何もないとこをなぜか登れる感がしみじみと脳内麻薬に働きかけ始め、

ほぼ忘れていた最終ピン付近のムーブでノウナイマヤク大洪水状態になった。

ああ、ムーブがおもしれえぇぇ

岩場やルートに優劣をつける意図はないんだが、ことムーブに関しては備中、新エリや権現あたりはぼくのような12クライマーには宝の山としか言いようが無い。
個人的に一番幸福物質全開は同じ新エリの時間よ止まれ(右回り)だった。

だけどなぜここ最近はシーズンの大半を鳳来で過ごすようになったんだろう?

ルートの面白さ、クライミングの面白さは純粋にムーブだけでは語れないんだろう。


個人的ベストムーブランキング

1 時間よ止まれ 備中・新エリア
右回り、キョンとクロスでなんだかよくわからないものをつかんで登れてしまうあの感じ。

2 アルパイン少女マミ 小川山・弟岩
ベストムーブかつベストルート、一個一個細かい何かを拾いながら登れてしまう。

3 パンピングアイアン1 城ヶ崎・シーサイド
いまでは忘れてしまったが、遠い水平ガバを取りに行くムーブは脳が溶けてしまうくらいしびれるムーブだった気がする。

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# by a_roofbeam | 2013-12-23 22:56 | クライミング
三日目の朝、ポータレッジ二泊目は前夜が嘘のようにぐっすり眠れた。そして眠りすぎた。

早朝から行動してない時点で敗退は決定してたようなものだった。

だけどぼくは、どうせ敗退するにせよ、いけるとこまで(ブーツフレークの上辺りまで)いって敗退してもいいんじゃないか、水も食料も足りないわけじゃないんだし、と考えていた。

だが相棒は今日中に降りることを決めてしまっていたようだ。経験も実力もヤツのほうが数段うえなので、ぼくはリーダーに従うことにした。

ぼくらはポータレッジを片付けると、登りに必要のないすべての道具をデポして、軽くなり、ドルトタワーまで最後の記念登攀(?)をはじめた。

ぼくは途中の5.8の短いチムニーのピッチをなんとかオンサイトしたが、そこから見上げたフィストが永遠に続いていくようなセクションは吸い込まれるように美しかった。

だけど実際そこをフォローしてみると、ぼくの苦痛とするキャメ4サイズが信じられない位長く続く。

フォローなのに、空荷なのに、ぼくはトライする気が起きなかった。

ブーツの上まで行きたい、なんていう朝の気持ちはどこへ消えたのか、

ぼくはただ回収したキャメ4をつかんでは登りつかんでは登り、ただただこの美味しいはずのクラックから逃れたいだけだった。

ドルトについた。

相棒が言う。

このセクションをリードで行って人工で抜けれる自信があるか?
カムの掛け替えって簡単に言うけど、キャメ4が2個しか無いのにここを掛け替えで登れば、その間10メーター以上ノープロやぞ。下でもしそのサイズを使ってたら、そこまでロワーダウンして登り返しや。

まあ、平たくいえばぼくの実力はこのレジェンドなルートをトライするには達してないということだ。だけど、まあ、それはそれでいい。

楽しく記念撮影して、ここまで来ても近くとは思えないエルキャプタワーやブーツフレークを仰ぎ見て、敗退を開始した。

すると、下の方からトランシーバーで拡声された韓国語の会話が響いてくる。

どうやら韓国人の5人(!)パーティーがすごい勢いでストーブレッグに辿り着こうとしていた。

みてると、一人のリーダーが常にリードし、後の4人はひたすら荷揚げにてっして、ホールバッグ2個とポータレッジをすごい勢いで上げている。

まあ、昨日までの僕らの考察なんてなんの意味もないと笑い飛ばされるようだ。ノーズに登るのにスタイルどうこうなんて自分で決めれば良い。どんなスタイルでも登る奴は登るし、敗退する奴は敗退する。

さばさばと僕らはデポした地点まで降りてラペルの準備にとりかかった。

だけど、膨大な荷物を抱えての敗退もやはり一筋縄ではいかない。

幸先の悪いことに、ぼくは自分のマットがなくなってしまっていることに気づいた。そして作業中に、ちょっと荷物の上に足を載せた瞬間ブチッという嫌な音がして、ぼくの(食べもしなかった)行動食の袋が気持ちのよい垂線をえがいて数百メートル下に落ちていく。

大声で下に向かい叫び続けているのがとても恥ずかしかった。

で、昨日までぼくらを苦しめていた最大の重量物、水を捨てる。

壁の途中の敗退なので、後続のパーティーのために水をデポしておくことはできない。ただ、捨てるしか無い。

ほぼカオス状態になっているホールバッグの中から、ひとつひとつ3リッター入りのペットボトルを取り出して、空中にぶちまけるだけのことが、どれほど虚しく長く感じられるか。

水は壁をわたる強い風でキラキラと輝く結晶のように散っていく。

グチャグチャのホールバッグには掘り出しても掘り出してもまた新しい水瓶が出てくるように思えた。

ようやくすべての水を捨て終わって、それでもぼくらとともに下る重量はげっそりするようなものだった。

ホールバッグは相棒に任せ、ぼくはギアラックにありったけのギアを付けて先陣で下っていった。

ノーズは敗退用のラペルポイントはしっかり整備されていて迷うような要素はない。だけど、重たいギアを身につけて、ラペルステーションでセルフにぶら下がっていることがこれほど辛いとは思わなかった。

実際この時、ぼくも相棒もハーネスにぶら下がりすぎて足の神経を痛めてしまったらしい。

ふたりとも、この日から一ヶ月以上足の皮膚感覚が軽く麻痺してしまった。

歯医者の麻酔が切れかけみたいな感覚が、日本に帰ってもしばらく消えなかったし、二ヶ月以上たって今に至ってもまだ、右足の付け根だけはごくごく軽い麻痺が残っている(;´Д`)

相棒はラペルを極端に嫌がる。
たしかにそれはわかる。クライミングで一番死に近いのは懸垂下降をしている時だ。

二回目のラペル中、ひどい強風が吹き始めた。次のラペルステーションは左に少しそれたところにあり、軽くテンショントラバースを入れなければいけない。

だけど、強風は逆にぼくを右に右に運んでしまう。どうがんばっても左に進めず、パニックになりそうになった。
自分を落ち着けてなんとか足に巻くクラシックな仮固定をし、震える手でひっちゃかめっちゃかなギアからスリングを取り出してプルージックを決め、長いこと、長いこと風が止むのを待った。

風がやんだ。ぼくは無心で壁を左に走り抜けた。あと少しでチェーンがつかめるってとこで、はるか上で韓国パーティーのホールバッグにロープが引っかかってひるんでしまった。

結果、あっという間に逆に走らされるハメになる (;O;)

韓国人の荷揚げと風が止むのを待ちながら、巨大な壁のブランクセクションにただ不安げにぶら下がっていた。
たどり着けなかったキングスイングの代償行為みたいだな。なんとか二回目のトライでチェーンをつかむことに成功した。

敗退のラペルは虚しいぐらいに永く、まどろっこしく感じられて、これだけはもう二度とやりたくないね感満載だった。

地面に降りたあたりの感想はもうここに記述するようなものでもないだろう。

激しい苦悩や後悔や叱責や反省や闘志やらが沸き起こるでもなく、

ただ、あーあ、って感じで、ギアを放り出して体を休めた。
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# by a_roofbeam | 2013-11-28 22:46 | クライミング

あいちトリエンナーレ

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志賀理江子


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これはかなりスマッシュヒットだった。ビルの屋上が全てグリッド空間になっていた。

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正直、まちなかの企画のレベルは低かった。

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岡崎って初めて行ったけどファンキーな街。

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ロッキンジェリービーン風のベトナム料理屋(*´∀`)

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個人的にはこの作家がMVP

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ロウで出来た小さな家に入るこのインスタレーションには度肝を抜かれた。
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# by a_roofbeam | 2013-11-22 00:29 |
その1
『君死にたまふことなかれ』

母親はぼくが寝付くときに、子守唄代わりにいろいろな詩を朗読してくれた。(もちろん子守唄も歌ってくれたが)

啄木とか光太郎とか、そういった有名ドコロの詩の中でも一番ぼくの心に染み付いたのが、

与謝野晶子の『君死にたまふことなかれ』だった。

子供心にとってもラディカルでファンキーで、かつしんみりする。

旅順の城が落ちるかどうかなんてどうでもいい、

という姿勢は40近くになってもまだぼくの奥底に染み付いた基本理念である。

天皇が実際前線になんか行かねえだろ、という子どもじみた屁理屈もぼくにはとても素直に受け入れられた。

あなたが生きていればいい。

ぼくはサヨクでもウヨクでもないが、いつでもぼくの心には枕もとでこの詩を朗読してくれる母親の声と姿がある。

あなたが生きていればいい。


その2
スパゲッティーは啜って食べるな。

母親は外国に行ったことはない。パスポートを作ったこともない。(あたりまえか)

だけど、スパゲッティーやスープをすすって(音を立てて)食べることは小さな頃からうるさく注意された。

「パスタ」なんて言葉はなかった時代だが、

「スパゲッティーは啜らねでフォークさまいで食え」

「スープばズルズル飲むな。すっと口の中さ流し込め」


とうるさく言われた。ぼくが理解できないでいると、太宰の『斜陽』を持ってきて冒頭の部分をぼくに読ませ、こう飲め、と言われた。

そのせいで未だにぼくは肉を切ってからフォークは右手に持ち替えるし、寿司を食べるときは箸はけして使わない。

まあ、一番印象に残ってるのは庭で「おしっこ」する「お母さま」だが、、

日本ではスパゲティーやスープををズルズル啜って食べる人が多いし、箸で食べるパスタを売りにしてる店もあるくらいだ。

だけど、海外ではとても受け入れられる行為でないことを知っていたほうがいいと思う。

LOVE AND PEACE (#゚Д゚)
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# by a_roofbeam | 2013-11-14 21:58 |
シックルで、よく眠れないまま起きる時間になった。

回復感もそれほどない。

もっと早く出発するつもりがうだうだしてしまい、ポータレッジをしまったり、

あれやこれや手間取ってるうちに、フィックスを上がってくるパーティーがいて、焦ってしまう。

アメリカ人の二人は、30リッター程度のザックひとつで現れた。今日はエルキャプタワーを目指してるというから、そこまで行ってラペルダウンするのか?、と聞いたら話が噛み合わない。よくよく聞いたら、2デイで抜けるということらしい。

おいおいそのザックにホイチョイカプセルでも入ってるのか?

準備にあたふたしているぼくらは彼らを先行させた。

ここでまたひとつ認識を改めることになる。ノーズを2デイで抜けるなんて、とんでもない強いクライマーだけの世界と思っていたら、彼らは6ピッチ目で普通にテンションを入れていた(まあザックが重いんだろうけど)。

このへんから、徐々に何かが違うと気づきはじめる。

ぼくらはそこそこオーソドックスなスタイルで臨んでいるつもりだったが、

ことによるとすごく時代遅れなトライをしてるんじゃないだろうか、

そんなことを考え始めた矢先に、はるか上方から、教会の鐘が遠く、鳴り響いてくる。

ストーブレッグのあたりにはられていた別パーティーのポータレッジが撤収を始めたようだ。

アルミのごついパイプがカランカランと岸壁にあたって、遠い鐘のように聞こえてくる。

シックルからの2ピッチはぼくがリードしたが、本当にリードでよかった。

人が簡単に登れる3級の岩は、ホールバッグには鬼が満載の地獄になる。セカンドは50キロ位上のズタ袋を抱えながら上がってくるハメになる。

そしてビレイ点ではお約束のようにロープが絡む。

いろんなサイトを見て頭のなかではスッキリしたビッグウォールシステムをイメトレしてきたつもりだが、そんなことはお構いなしに現実のロープは絡む。

ストーブレッグへの大きめの振り子トラバースまであと少しという相棒に、

「悪い、下でロープがクラックに挟まった(;´Д`)」

ビレイ器をセットして5メーター以上ラペルし、引っかかったロープを回収してさばき直す。

その間相棒は日の当たる壁に30分以上ただぶら下がっている。やつの喉の渇きは痛いようにわかる。

「俺たちビッグウォールの悪い例をまさに実演してるみたいだな。」

たぶんドルトホールに2時間ちかくいただろう。ストーブレッグを登ってる相棒のコールは聞こえるが、姿は全然見えない。苦戦してるようだ。

やっとビレイ解除の声を聞き、きつい空中懸垂とロワーアウトを経て、スッキリした壁の美しいクラックを眺めながらユマールした先にはすっかりやつれ果てた相棒がいた。

ビレイ点でぼくもやつも、完全にスタンディングノックアウト的な感じだった。
次の行動が起こせなかった。

相棒がビレイ点と思っていたアンカーは、ドルトから地面まで続いているラペルポイントのひとつで、
ぼくらははからずも敗退の道に迷い込んでいた。

そして、今朝鐘を鳴らしていたパーティーが大荷物とともにぼくらの上から下降してくる。

はやくも物語が終わりそうなフラグが続々立ち始めた。

彼らは憔悴しきっていた。もう考えることができなくなったので敗退すると言っていた。
ぼくらもドルトにたどり着けるか不安に思っていることを言うと、ここにポータレッジを張ってドルトまで空荷でフィックスしたらいい、昨日ぼくらもここで泊まった、と教えてくれた。

これを聞いた瞬間、つくづくホッとした。もうこれ以上荷揚げしたくない。

同時にぼくらも彼らを一日遅れでトレースしてるんだろう、という直感も生まれた。

重い荷物、ポータレッジ、遅い行動、明日は同じようにここをラペルダウンしてるんだろう、、、

彼らが下って行くと、ぼくらは夕方の鐘を鳴らし始めた。

とても幸福だった。ポータレッジの上で憔悴して、エルキャプメドウが少しずつ夕日の色になるのを眺めながら、昨日よりとても満ち足りた気分で晩飯を食べてお茶をした。

登るのをあきらめると、なぜこんなにも幸福で満ち足りた気分になるのだろう?
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# by a_roofbeam | 2013-10-23 21:55 | クライミング
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なにはともあれヨセミテで一番食いたいものがこの肉だ!


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山のように反省点が出てきたが全く後悔もしていないし、打ちひしがれてもいない( ー`дー´)キリッ

事前に荷揚げの練習をしてないどころか、

お互い何を持ってくるかもノーチェックで、

ノーズの取り付きで、当然全て入ると思っていた荷物がどうやってもホールバッグにおさまらなかった時のヤッチャッタ感と言ったらなかった。

売ってる一番でかいホールバッグ買ったのにな、、、

セカンドがモンベルのギアバッグを背負って登ることになった(;´Д`)

で、ノーズの本当の取り付きは2ピッチロープを出したところにあり、このいわば0ピッチですでに
荷物が上がらなくて死ぬほど苦しんだ。

何しろパンパンのホールバッグはちょっとしたカチみたいなホールドに引っかかってスタックする。
ヘタしたらスローパーでも止まってしまう。
ハングなんか発狂しそうになる(#゚Д゚)

そのたびにセカンドが介錯してやらなきゃいけない。

もちろん上げる方はもっと大変で、3分の1システムを使うとおもいっきり引き上げても5センチ程度しかバッグは上がらず、ほんとうに果てしのない重労働を繰り返す。5センチを30メーターで割ってみて、、、( TДT)

本当の1ピッチ目取り付きに立った時にはすでにくたびれ果てていた。それでも今日はなんとかシックルまで行って、明日持ち直せればとモチベーションは十分だった、が、

2ピッチ目に自分がリードする番になって、もっと恐ろしい事実が降りかかってきた。

ピトンスカー(・・;)

言葉では知ってた。「ハーケンを打ったり抜いたりして広がったとこだろ。エイリアンを決めてきゃいいんだろ」

こんな甘い考えは、最初に決めたエイリアンをテスティングした刹那にひっこ抜けて大フォールしたぼくの体とともに吹き飛んでいった。

何しろ浅くて、形がいびつ。普通のエイリアンでは上手く決まらない。

大枚はたいて購入しておいたオフセットマスターカムが、大げさじゃなくぼくの命を救ってくれた('∀`) これじゃねえと決まらねえんだぁぁ

それでもすごく不安定で、フォールで2本スッポ抜けて途方もなくフォールしてしまった。

ぼくの感覚では、フェイスで13が登れないとこのピッチをフリーで行くのは厳しいと感じた。
情けないことに3ピッチ目を変わってくれないかと早くも相棒に泣きついたが、却下された。

こんなテイタラクな登りで時間はあっという間に過ぎていき、シックルに着く前に日が沈みそうになってきた。相棒が4ピッチ目を登ってる最中に、完全に日が暮れた。

初日からヘッデン登攀となる。

4ピッチ目はテンショントラバースが二回入り、時間がかかる。取り付きでは幾多のヘッデンが心配そうにこちらを見上げている。やっと辿り着いた相棒が荷揚げしていたが、ぼくのすぐ横にいかにもな感じで rope eating frake が口を開けているのがものすごく神経に触った。

あいつにロープが挟まったら、今晩は着のみ着のまま体育ずわりビバークが確定だ。

そしてオレはオレでヘッデンを頼りにやったこともないロワーアウトを2回も決めなきゃいけない。

もう少しでシックルに立てるという時に、アブミがクラックに絡まって下り返すはめになったときは叫びだしそうになった。だけど苛ついても仕方がない。

シックルに辿り着いた時の安堵感と行ったらなかった。夜の8時を回ってた。

そしていろいろなことが見えてくる。分かってくる。芯から疲れ果てて、ただレッジに寝ているしかできないぼくの横で、相棒がジェットボイルでレトルトカレーとアルファ米を用意してくれたが、すごくありがたいことなのに食べたいとも思わない。(食ったけどね)

考えたら、行動食にと思って24本(!)も持ってきたソイジョイだって取り付き前に一本食ったぐらいだ。

相棒が山のように用意してくれたスープやコーヒーも、飲む気になれない。

背中に背負ってた、自作の木製ブランコなんか一度も使わない。

恥ずかしいくらいに無駄ボッカの嵐なのだ。

相棒が張ってくれたポータレッジで寝たが、上手くねれず、朝起きたら冷たく乾いた空気のせいで喉が痛くて仕方がなかった。
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# by a_roofbeam | 2013-10-10 22:24 | クライミング
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とくにヤバイことを考えてるわけじゃありません(;´Д`)

昔ぼくが働いていた巨大アウトドアショップが日本から撤退して全員解雇、という祭りになった時、

ある友達が無職のことを無の人、と言い出しました。

それが気に入って無職になることを無になると今でも思ってしまう。



しつこいぐらい言ってるが今の仕事はとても面白い。

どうしても動かなかった機械をさんざんあれこれやったあげく、ほんのちょっとした事に気づいて復旧させた時は足が震えるほど自分で感動してしまうことがある。

新しい機械を美しく組み上げるのも同じように楽しい。

「金をもらって数千万のプラモを組み立ててる」とか「金をもらって最高級のパズルをやってる」とか、冗談で言ってる。

ここ数ヶ月、北陸某所で思いどうりの性能をあげられない機械を何とかしようと日夜鉄を削ったり、リレーとタイマーであれやこれや試行錯誤のくりかえしだ。



だけど、瀬戸内のおだやかな海を眺めながら、出てしまったフェリーを目で追いつつ、
照り返しの中で生ビールを飲んでいると、

ぼくはいつでも無になれると思う。

何も考えずに好きなところに行って好きなモノを食べて好きなだけ寝ていたい。
何かに追われることなく、いつまでもきれいな風景を観ていたい。

金の算段さえ付けば(*´∀`)、いつでも無になりたい。

働きたくない。

いや、理想を言えば、月に5日ぐらい働ければ十分だ。



いまはある程度好き勝手やってても、前の会社ではぼくは普通に社畜だった。

10年も一緒にニセコに通った友人の結婚式に、展示会の仕事があるから、と断ってしまったことを今はものすごく後悔しているが、その時は断るほうがとても自然に思えた。

ぼくは狂っていた。

前の仕事を続けていたら、ヨセミテなんて言葉は永遠に夢のなかの妄言だったのだろう。

好き勝手やってるぼくがこんなことを書いても、現在仕事に縛られている人はふざけた絵空事にしか聞こえないかもしれない。それについては申し訳ないと思う。

前の会社でのぼくはなぜ社畜だったのか? それは純粋に将来が不安だったからだ。だって前の会社でやっていた営業職は、自分にはとても向いてないし一生続けられる仕事と思えなかったからだ。さりとてなにかステップアップのために努力する人間でもなかった。

たまたま偶然に(たぶん)一生できそうな仕事につけた、というに過ぎない。

だけど、当時のぼくに妄想の言葉を送りたい。


仕事よりも友達の結婚式のほうが100倍価値が高い。
そして2週間の休みはファンタジーじゃない。ヨセミテでもスペインでも好きなところにいけ。


ぼくは自分で目覚めたわけじゃない。ただただ、ラッキーだっただけだ。もっとラッキーな人は世界のゴマンといるし、そうでない人もゴマンといる。

すこしずつでも、なにか変わっていければいいんじゃないだろうか?
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# by a_roofbeam | 2013-08-30 00:20 |

nabariから世界へ(?)

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名張に3ヶ月弱通い、果たしてぼくはどうなったのか?

お盆の小川山

ジャックと豆の木 RP しかし、思った以上に苦戦。

クレイジージャム ワイド部の最後で這い上がれずフォール、2日後泣きの二便目を出すも同じ箇所でフォール。

そりゃあ、去年やった時よりはだいぶマシにはなったが、魔法のように上達はしてなかったということだ。

で、予想外だったのが昨日久々に嫁に拉致られた鳳来鬼石。

クライマーは昨日今日と岩場には10人程度で順番待ちのホワイトボードが幻のようだった。
だけど岩の状態は3ヶ月ぶりだと絶望的にヌメって感じる。

ところが、ひさびさに枯れ木に取り付くと思った以上に登れる。

体が以前より岩に近い気がする。

岩に近いから後ろに引き剥がされる力も弱く、ホールドも近く感じた。

おお、これが某強いお方が言っていた
「クラックをやると体幹が強くなってフェイスもうまくなる」

なのだろうか?

それとも単純に5月より2キロ体重が減ったからだろうか?

前者のほうが夢があるよね(*´∀`)
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# by a_roofbeam | 2013-08-18 02:26 | クライミング

mostly nabari

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写真はsunny姉さんにとってもらいました。

フェイスを完全に封印して、名張に通い続けています。

ひとつのサイズが出来たと思っても、少しサイズが変われば全く別の技術が必要になる。

だけど、クライミングを始めた頃のような楽しさ、

湯河原幕岩と江戸川橋のTウォールに通ってた頃のような楽しさがよみがえってくる、、

鬼ヨメもいないしね('∀`)
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# by a_roofbeam | 2013-07-10 23:01 | クライミング

金沢21世紀美術館

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せっかくの晴れた土曜日に小松空港に外人を送り届けるだけの仕事。

まあ、すごくいいやつだったが。ドイツ人とばっかり思ってたらメルドー、メルドーを繰り返すのでなぜフランス語を喋るのか聞いたら両親はドイツ人だが俺はフランス人だ、と言われた。

日本はこれが4回めで今回はぜひとも招き猫が買いたいと真顔で訴えられた。

小松は予想以上に古き良き街だった。二人で雰囲気のいいイタリア料理の店でランチをして別れた。

返す刀で高岡を通り過ぎ、雑穀谷に向かった。何しろネットで見たらすっぱり割れたクラックがあるじゃないか。

たどり着いた雑穀谷は大盛況で、お目当てのクラックを登っていた人に突然ビレイを頼んだら、鳳来で見かけますね、と言われて嬉しくなった。

スーパークラックをワイド登りでトライしたら見事に頭から落ちて、こころよくビレイしてくれた人に非常に不安な思いをさせてしまった。。orz

2本登った所で、人口壁で痛めた肩が重くなってきたので、素晴らしい富山クライマーたちに別れを告げてホテルに引き返そうとしたが、

やはり心がうづいて今日は行かないでおこうと思った21世紀美術館に取って返した。

結果としては大正解だった。

ぼくにとって21世紀美術館はそれだけでまず居心地が良い上に、企画も常に結果を出してくれる素晴らしい場所だ。行く前に検討する余地がない。行けば素晴らしい出し物をやってる。

今回も大当たりだった。撮影禁止だから当然ブログでは紹介できないが、

志賀理江子と加藤泉という作家が素晴らしかった。

何よりピピロッティ・リストのビデオが最高に素晴らしく、ぜひともパーマネントインスタレーションにしてほしい!!!


行ってみれば、ああ、あいつが興奮してるのはこういうことか、、とわかると思う。。。
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# by a_roofbeam | 2013-06-01 22:05 |

ぼくはノーズを登る

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はたしてこの写真にノーズが写ってるかどうかもよくわからないんだが、、、

これは怠惰な自分に気合を入れるためのカマシの文章です。

努力は嫌いでもこれだけはやっておきたい。

去年の夏エルキャプを見た瞬間にこれは登らないといけないと思った。

何も理由を付ける必要はない。

一緒に行ってくれるぼくとおなじくらいアホで、ぼくより100倍クライミングが上手い友だちがいる。

このアホ友達もまだノーズ自体は登ってない。感動を分かち合える。

今でしょう(*´∀`)



とりあえず会社のショールーム天井にフィックスを張ってユマーリングと荷揚げの練習だな(;´Д`)
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# by a_roofbeam | 2013-05-09 21:01 | クライミング

スペインの旅

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とりあえずかけつけガウディ。カサ・バトリョ



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フットボールエリア。グレード甘め。



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なにしろ借りたアパートがきれいでキッチンもフル装備なんで、チカコさんが(うちの嫁も、、)料理の腕を存分にふるってくれた(*´∀`)



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1月1日午前中、冗談抜きでコバグランには日本人しかいなかった。



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なにしろパエリヤが美味かった!



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シウラナは世界遺産クラスに美しい街だった\(^o^)/



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聖家族教会。ガウディが作った以外の部分はRC造になっている(;´Д`)



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なんだかんだ、これが一番楽しみだったバル。タコ嫌いのぼくがバクバク食べたゆでダコ。



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バスク風のバルを見つけたらこのピンチョスが食べれる。見た目がとてもきれいで見た目以上にうまい!!!
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# by a_roofbeam | 2013-03-27 20:44 | クライミング

クイックドローの話

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クライミングを始めた頃からボルト側”スピリット” ロープ側”BDクイックワイヤー”の組み合わせだったが、10年以上使ってるし、思い切って更新してみた。

ボルト側”アンジュS” ロープ側”トランゴスーパーフライ”

ロープ側は単純に軽量化されただけだが、ボルト側は正統派キーロックからクリーンノーズかつモノワイヤーと大きく変わった。

ここ数ヶ月使った感想として、このチョイスは大成功だった。最初にアンジュが出たときは、小さくてロープをクリップしにくいビナ、という印象だった。だけど、あるときボルト側としてはこれが正解じゃないだろうか? と思いなおし、一個だけ購入して試してみるうちに確信できた。

軽い、小さい、クリップしやすい、ノーズの幅が均一なので回収もスムーズ、良いことずくめだ。
一番の長所は、すごく遠いボルトに「押し付けクリップ」できること。ゲートを親指で押し開けながらじゃなく、ゲートが閉じたままハンガーに押し当てるだけで軽くクリップできる。昨日MORISAMAの核心部で大変重宝しました。


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この写真のとおり、ノーズの幅が均一で、「かえし」的なでっぱりがないのが、先行していた各社クリーンノーズの製品との大きな違いだ。

今のとこフリールートでの回収のしやすさはスピリットに比べて遜色ない。

ロープ側はキーロックやクリーンノーズの利点が殆ど無いため、軽量な通常のワイヤーゲート。今となってはこのトランゴのビナは地味だが、発売当時は画期的な超軽量ビナの走りだった。当時フレンズ用にたくさん購入したものを今回流用した。

ちなみに、ボルト側のビナは自転車のチューブを輪切りにしたもので固定している。京都の某先生に教えてもらった。ロープ側は通常のペツルのゴム。よってロープ側のビナはちょっと頑張れば外せるようになっている。


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というのも、クイックドローを連結してのばすときに、上の写真のように中間部のビナはボルト側のビナにしたほうが良い。なぜなら、


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あまり知識のない人が同じルートをトライするとき、こんな間違いをされるのを未然に防ぐためだ。

ランナーの長さもついに25センチになってしまった。ロープの流れはすこぶる良い。湯河原幕岩で登ってた頃はこんな長いの腰にさげる自分なんて想像できなかったなぁ。


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おまけ、先日水の泡の終了点から回収してきた危険な残置ビナ。二枚がけだから助かってるものの、一枚だったら殺人レベルやな。こまめにチェックしましょう。

ときには某アイロン日記的に実用的なことを書いてみたいと思ったが、やっぱりあの丁寧さは真似できんなぁ。
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# by a_roofbeam | 2013-02-22 23:12 | クライミング

チョコレット

古川での仕事を終えて高山のホテルに5時にチェックインした。

多少期待しながら古い町並みに行くと、筋を一つ間違えたのかと思って通り過ぎた。

やっぱり間違ってなかったと思い直して戻ってみると、昼間はあれだけ賑やかな通りが全て閉店して誰も歩いていない。

自分は牛串と生ビールの無限連鎖の甘い夢をみていたが、そんなものはどこにもなかった。

唖然として、静かな、多分本来の姿の古い町並みを歩き通した。

思いついて高山のボルダージムを見学してみることにした。

ちょっと遠いが歩いてみることにした。途中、10歳ぐらいの女の子が、氷の塊を足で引きずりながら歩いてきた。

目が合うとこんばんわと挨拶されたので自分もこんばんわと返した。

たどり着いたジムはなかなかひろくて感じが良かったので靴をレンタルして登ることにした。

課題は非常に辛くて遠い、正直好みじゃなかった。

登り終えてホテルのすぐ近くのラーメン屋に入った。立派な建屋で昼時には結構混んでいて一度入ってみようと思っていた店だ。

客は自分以外誰もいなかった。死ぬほど美味しくなかった。とても悲しい気持ちになった。

満たされない気持ちで歩いたが、他に入りたいような店も開いてなかった。

コンビニでビールと堅揚げポテトとチョコレットを買って部屋で食べた。


なぜこの夜が(自分にとって)こんなにタルホ感があるのかわからない。


きっと氷の塊を引きずっていた子がお月様だったのだ。
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# by a_roofbeam | 2013-01-31 22:01 |
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初日は設営。10年近くバッカン泊まりで入らない間にプラスチックのスコップは時代遅れになっていた。
アルミじゃねえとクラストが切り出せない。
ハイドレーションの口も飛ばしちまったし、道具の更新が一番カネがかかる。
F1ビーコンもすっかりクラシックモデルで、「他人を救う本気度」が感じられぬらしい。
フリークライミングだけやってれば小遣いたまるんだけどなぁ。
アルファロメオに乗れる(かも知れない)んだけどなぁ。


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そして滑りこむ。
小遣いやアルファのことなどどうでも良くなる。


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で、こんなナベを食い、昔の仲間と新しい仲間と本当にどうでもいいばかみたいな話で盛り上がる。


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二日目朝、こんな視界。
そうそうに敗退を決めてテントを撤収し、晴れ間が見えた2時間だけ滑って一本当てた。気持ちよかったぁ。


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下山して白馬の貸し別荘で、ぬくぬくと、タイカレーを食わせてもらう。これをテントでやるつもりだったってすごいよね。そしてまた本当にどうでもいいバカ話をくりかえす。楽しい時間だ。


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上だけオープンしてる八方尾根のこの斜面をひたすら滑って終了。これはこれで楽しい。


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で、肝心のポンツーンだが、ハイクでも滑りでも拍子抜けするぐらい違和感がない。
人のレビューでやれ重たくて足枷のようとか、圧雪でくるくる回ってパウダー専用とか、あれは全部ぼくにとってはウソだった。
前履いてたパブエネと実際違いがわからない。

はっきり言ってしまうと、今回重めの吹き溜まりパウダーをドロップする限り、パブエネともその前の板ともあまり違いがわからない。
スキーの後ろ半分しか使わないぼくの特殊な滑りだと、極太のロッカーとか、別に意味が無いんじゃないかということ。

ハイクアップでも今回ぐらいのラッセルではロッカー有利が感じられず、トラクションも前の板に比べて格段に良くはない(今回初採用のG3シールのせいかも)。
ただし、幅広のせいで板の上に乗ってしまう雪の量は多く、それが重さにつながってしまう。湿雪では嫌になるかも。

で、八方の綺麗なピステを滑った感触も、去年の試乗会で感じた以上に違和感がない。さほど急でなければパブエネと全く同等に滑れる。面白かったのが、コケた時の制動がバツグンで、サイドカーブのないほぼ真っすぐのエッジを雪面に食いつかせるとあっという間に滑落停止になる。

もうひとつ、リフトで乗り合わせた人に話しかけられる率が急上昇。女の子に、ではなかったが。。

G3のシールは今回みたいなライトな使用ではまあ何とかなったが、接着、トラクションともBDには劣ると感じた。ま、アメリカから激安で買った型落ち品だから現行とは違うかもしれない。それと、BDにはない130ミリ幅なので、全くカットせずポンツーンにジャストフィットしたのが最高だった。


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無事に帰り、道具をしまい、新たな物欲と戦う。
そして次のツアーを夢見て。
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# by a_roofbeam | 2012-12-05 22:37 | テレマーク