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by a_roofbeam

鬼石から権現へ

ことしは4月から先々週までずっと鳳来に通っていた。すべて鬼石だ。

ぼくも嫁もなんとか課題を終わらせることができた。結果ヨメと最高グレードで並ばれてしまった、、、

鳳来にも沢山の仲間ができて楽しかった。

特に総括のようなものはないが、ひとつ考えさせられたのは、入門でのグランドフォール続出、そのうち1名が下山後救急車を呼んでしまったこと(伝聞情報)だ。

あの岩場の雰囲気や危機感がわからない人は、救急車を呼んで何が悪いのかわからないかもしれない。だけど、大量に出血して生死に関わるような状況じゃない限り、クライマーは自力で下山して自力で医者に行かなきゃいけない。

さもないとどんどん登れるエリアがなくなっていく。
四国や奈良の岩場での痛ましい事故がそのままエリアの消滅につながったことを例に出すのは良くないかもしれないが、これが現実なのだ。

自分の土地で人が死んで楽しい気分になる人間はいない。ヘリや救急車も同じようなものだ。

ぼくは今でもクライミングの本質はオンサイトと初登の尊重だと考えている。鬼石ではみんながお互いのムーブを語り合い、観客席からそこ右、そこ左とにぎやかな声がかかるなか、ぼくだけはその声に耳をふさぎ、自分の登っていないルートを登る人から目を背けている。仲間がステロイドをレッドポイントしそうになり、岩場がガンバコールで白熱しても、ぼくはチラ見しかしなかった。

まあ、奇異かもしれない。時代に合わないかもしれない。
こんな部分的にヘンコな人間だが、フリーソロやマット無しのボルダーが最上のスタイルという考え方は個人的に完全に捨て去った。誰にも強制はできないが、少なくとも日本のフリーのエリアではこの考えが主流になってほしい。
いくらヘンコな人間でも、登れる岩がなくなった世界で理想を語るほど愚かしいことはない。

で、先週末は仕事だったので嫁とあわせて月曜日休みをとって権現に復帰した。誰一人ほかのクライマーがいない、だけでなく、車も一台も通らない、静かな権現だった。一日を通してずっと落ち葉が降りそそいでいた。

先週までの鬼石の喧騒がマボロシのようだ。こういう状況になると岩場でのクライミングという行為のある奇妙さが浮き彫りになる。一日いても実質登るのは2時間足らず、あとの数時間はただ休んでいるだけということ。

川の流れる音を聞きながら、落ち葉が降り続く谷で眠る、

なんて、いいながら実質は、
誰も居ないために「外ヅラスイッチ」がオンにならない鬼嫁に家と同じペースで虐げられる一日だった。。

チョンボ棒で叩かれたり、テルモスの湯を手にかけられたり、

嫁があの大声で歌う歌詞の間違った北斗の拳の歌をただただ聞かされ続けたり、、、(-_-;)
by a_roofbeam | 2012-11-22 00:29 | クライミング